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オンリーワンを作りたい——こだわりを追及する同人的ハードウェアグループ「TOKYO FLIP-FLOP」

松田:大学の同級生に基板設計ができるエンジニアがいるので、基板を作ってもらって中国メーカーに外注しています。

斎藤:マイコンを内蔵した「Koshian」というBluetoothチップを使っています。ファームウェアも自作ですし、桐箱もレーザーカットして製作しています。基本的にファームやアプリを私が作って、UI関係は松田が作ってと、二人でソフトウェアを書いています。

ファブ施設のレーザーカッターで加工/刻印し、一つ一つペーパーで仕上げたという桐箱ケース。透明アクリルのスマホスタンドもきれいな仕上がりだ。 ファブ施設のレーザーカッターで加工/刻印し、一つ一つペーパーで仕上げたという桐箱ケース。透明アクリルのスマホスタンドもきれいな仕上がりだ。

レジプラは、ピーバンドットコムが主催するハードウェアコンテスト「GUGEN」にも2015年にエントリーしたという。自分たちが「これ、いいんじゃない?」と思うものを作ったとしても、実際に商品化するのは個人レベルではなかなか容易なことではない。

松田:すべて手探りで始めました。初めはユニバーサル基板と3Dプリンターを使って作っていました。プラスチックで量産しようと金型の見積りを取ったんですが、予想以上に高くて断念しました。

斎藤:ケースは100均のものを組み合わせたりしていましたが、そのうち桐箱とか良いんじゃないかと思いついて使っています。自分で塗装したりカスタマイズしたりするお客様もいらっしゃいます。

松田:既存の桐箱を使って、Makers’ Baseのレーザーカッターで加工しています。最近ではファブ施設が増えてきているので、それを利用しながら作っています。

ボタンを押すとおみくじが印字される「おみくじマシン」。表示はTOKYO FLIP-FLOP主催イベント「裏メイカー祭」用のもの。 ボタンを押すとおみくじが印字される「おみくじマシン」。表示はTOKYO FLIP-FLOP主催イベント「裏メイカー祭」用のもの。

これは「おみくじマシン」だという。中央の赤いボタンを押すとおみくじが出力されるのだが、おみくじ印刷にはレシートプリンターを使っている。

——これはどんなきっかけで作られたんですか?

斎藤:「技術書典(技術系書誌の頒布イベント)」があって、そのイベント用にレシートプリンターを使って何か作れないかと思って作りました。これは、あらかじめ印刷されている普通のおみくじと違って、スイッチを押したときに運勢が決まるような偶然性を出しています。レシートの用紙におみくじが印刷されているという違和感も、面白いかなと思いました。

松田:これは先日「Maker Faire Tokyo」と同日開催した「裏メイカー祭」という自主企画イベント用の画面です。実は昨年Maker Faire Tokyo 2016に申し込んだのですが落ちまして。それで自分たちも盛り上がろうとMaker Faireと同じビッグサイトの会議室を借りて開催しました。今年は他の落選したグループにも参加してもらい、200人くらいのお客様にも来ていただきました。このおみくじマシンも来場者の評判は上々で、ショップの店頭に置いてみたいという声もあるんです。レシートにお店のロゴを入れたりとか、メッセージを変えたりとか、お店に合わせたカスタマイズができる仕様になっています。あと、メンバーに「おみくじ」を書いたことがあるという人がいたので、文面もすべて手作りです(笑)

斎藤:個人でもイベントで使いたいという引き合いもあります。量産化は難しいと思いますが、リースという形で製品化できるかもしれません。

「おみくじマシン」のウッドパネルと押しボタン。スイッチの選択にもこだわりがあるという。 「おみくじマシン」のウッドパネルと押しボタン。スイッチの選択にもこだわりがあるという。

——これも仕上がりにこだわっていますね。アクリルと木の板できれいに仕上げています。

松田:ヒノキの合板をカットして貼っています。一番こだわったのは、やはりスイッチですね。この押す感じが良いんです。

斎藤:使う人の体験というか、スイッチを押すときのカチッという感覚だったり、レシートを印字する音だったり、レシートを切り取るときの手の感触だったり、アナログな感覚に訴える、パソコンでは味わえない手触り感が出せればいいかなと思っています。

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