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英シェフィールド大の3Dプリンタ製無人航空機、動力飛行に成功

使い捨て可能な無人飛行機を目指して、機体の部品全てを3Dプリンタで製造した無人航空機(UAV)のプロジェクトが新たなステージに突入した。前回紹介した際はグライダーだったが、今回はエンジンを搭載し、形状が改良された機体で飛行に成功した。

英シェフィールド大学先進製造プロセス研究センター(AMRC)によるこのUAVは、以前fabcrossで取り上げた、「3Dプリンタを使って24時間で製造された無人航空機」の改良形だ。

ABS製の機体部品はStratasysのFDM (熱溶融積層)方式3Dプリンタ「Fortus 900mc」でプリントしたもので、改良した機体は翼幅は1.5mとグライダーの時と変わらないが、エンジンを積んだことで重さは2kgから3.5kgに増加した。機体形状が変更・改良され、胴体中央よりの左右にダクトを設けたほか、翼端の“ウィングチップ”はなめらかな曲線で構成されている。今回はABS部品だけでなく、軽量化のために炭素繊維部品も使われているが、炭素繊維部品は3Dプリンタではなくレーザーカッターなどを使って製造された。 

3Dプリンタを使って1つの部品として作られた中央部分。 3Dプリンタを使って1つの部品として作られた中央部分。

搭載したエンジンは電動のダクテッドエンジンで、毎秒約20m、ほぼ時速72kmでの飛行が可能だ。機体には「ダックテール」を装備し、ピッチコントロールを改善した。この仕組みはF1にも使用されているものだ。

カタパルトを使って発射される。 カタパルトを使って発射される。

プロジェクトの次の目標は、電動のダクテッドエンジンの代わりにガスタービンエンジンを搭載し、翼長を2倍の3mにすることだという。このプロジェクトは3Dプリンタを利用することで材料のコストを抑え、開発や製造の時間を大幅に短縮する技術を世に知らしめた。こうした技術は、中小企業の製品開発や製造、市場への参入を助けるだろう。

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