XYZプリンティング、プロ向け光造形3Dプリンタ「ノーベル」発表
2015/02/12 17:00
XYZプリンティングジャパンは、同社初のSLA(光造形)方式3Dプリンタ「ノーベル1.0(Nobel 1.0)」を3月上旬に発売する。造形材料には紫外線硬化型樹脂(UVレジン)を使用し、複雑で高精細な出力ができる。主にプロユースを想定した3Dプリンタだが、価格は22万9800円(税込)と、同クラスの製品としては安価に抑えた。
一般的に安価な光造形方式3Dプリンタでは、DLPプロジェクター(もしくはそれと同等の機構)を光源にしたものが多いが、DLPプロジェクション方式ではレイヤー全面に1度に光を当てることができる反面、中心から外れたところでは光の強度や精度が落ちるため最大造形サイズが小さくなる。これに対して、ノーベル1.0はスポット状のレーザー光を2枚の鏡で反射させ、1レイヤーずつ走査して硬化させる仕組みで、より大きな造形物を高精度に出力できるという。
同社はFFF(熱積層溶融)方式3Dプリンタ「ダヴィンチ」シリーズを一般向けに低価格で提供してきた。発表会でXYZプリンティングジャパン代表取締役兼XYZ Printing会長のサイモン・シェン氏は「米調査会社ガートナーの市場データによると2014年の3Dプリンタの世界全体での出荷台数は10万8000台、ダヴィンチシリーズの出荷台数は3万台で、およそ30%に相当する」と話している。
ノーベル1.0が使うUVレジンは、独特の臭いがあり使用時には十分な換気が必要で使用後に残った残液もそのまま排水溝に流すことはできない。そうした理由からFFF方式3Dプリンタに比べるとノーベル1.0の扱いは難しい。このためXYZプリンティングジャパンが想定するノーベル1.0の利用者は、ダヴィンチシリーズと違い、フィギュアやジオラマ作成などを行うハイエンドコンシューマー/プロシューマー、デザイン検討のため各種モデルを制作する建築事務所やデザイン事務所、部品や製品の試作をする製造業などだ。類似のSLA3Dプリンタの中では「価格は半分から3分の1」(XYZプリンティングジャパン)としており、低価格を武器にシェアを狙う。発表会場には造形サンプルとして、フィギュアやジュエリーなどを展示していた。
ノーベル1.0の本体サイズは280×337×590mm、重さ9.6kg。最大造形サイズは128×128×200mm、積層ピッチは25/50/100μm。光源は405nmクラス1紫外線(UV)レーザーを使用する。専用の日本語ソフトウェアも付属する。価格は22万9800円(税込)。専用UVレジンは500g入り×2本で1万5800円(税込)。専用レジンタンクは7200円(税込)。レジンタンクは消耗品で1kg使用するごとに交換が必要。発売は3月上旬の予定だ。