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大日本印刷と筑波大、医療用の臓器立体模型を3Dプリンタで安価に作成する手法開発

大日本印刷と筑波大学は、患者の手術前シミュレーションに使われる医療用の臓器立体模型を、従来の約3分の1と安価で、内部構造も見やすく作成する、3Dプリンタを使った手法を共同開発した。この手法を使って肝臓の3Dプリントモデルを作成したと発表した。

医療分野の3Dプリンタ活用例としては現在、手術をより安全確実に行うために、患者それぞれの臓器立体模型を3Dプリンタで作成し、手術のシミュレーションや練習、治療計画などに使う手術プランニングが増加している。頭蓋骨やあごの一部手術では、実物大の模型の利用に保険が適用されている状態だ。肝臓、膵臓など臓器の立体模型については研究や一部症例での活用が進んでおり、今後は実際に治療を行う臨床現場での利用が期待されているという。

(出典:大日本印刷) (出典:大日本印刷)

ただし、従来の3Dプリンタで使用する材料の樹脂が高価であり、臓器の立体も計1つを作成するために数万円~数十万円かかることから、臨床分野への展開の妨げとなっていた。さらに従来の模型は内部の血管などの構造物を不透明またはカラー樹脂で造型し、構造物以外の実質部を透明の樹脂で作成していたため、透明樹脂部分で屈折が起こって内部がゆがんで見え、血管など臓器内部構造の視認性が低いという課題があった。

筑波大学医学医療系の大河内信弘教授、大城幸雄講師、同大学システム情報系三谷純教授と、大日本印刷が共同開発した手法による臓器立体模型は、臓器の機能を担う実質部の外面に沿うように形成し、内部をほとんど空洞にしているため、樹脂材量を削減することで、従来の約3分の1に低コスト化できた。また、内部状態が見やすいため、欠陥が複雑に入り組んだ箇所でも確認しやすく、手術チームの術式プランニング、術前シミュレーション、手術中の確認作業などの効果を高めるとしている。

今後は膵臓など他の臓器への展開を進めて2016年度までに実用化を目指すとともに、外科医のトレーニングや臨床現場への応用展開を進めていくという。 

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