Genkei、2つのエクストルーダーの自動交換機能を搭載した3Dプリンタ「TITAN 3」を発売
2016/10/04 18:00
Genkeiはエクストルーダー部分の自動交換機能を採用した法人向けのFFF(熱溶融積層)方式3Dプリンタ「TITAN 3」を10月4日に発売した。定価は42万円(税別)だが、10月末日まで発売記念キャンペーンとして40万円(税別)で販売する。
GenkeiのTITANシリーズは業務向けモデルで、メーカーのデザイン部門や試作開発部門、総合病院などの大規模な医療機関や研究機関が顧客の中心だという。
「TITANシリーズの販売を通じて、顧客自身に3Dプリンタに対する知見が増え、試験的な導入ではなく、日常の業務レベルで運用し使いこなせるユーザーが増えてきたことを実感しました」(Genkei代表の加藤大直氏)
そこで業務レベルでの運用や高い品質要求に応えられるよう、安定性と精度、拡張性を意識して最初から設計し直したのがTITAN 3だと加藤氏は述べている。外装にアルミフレーム、内部にスチールフレームを採用することで安定性を向上し、業務用CNCで採用されているモータードライバを導入することで、長時間でも安定した出力を可能にした。
また、2種類以上の素材で造形可能なFFF方式3Dプリンタの場合、ひとつのエクストルーダーに複数のノズルが搭載されているのが一般的だが、TITAN3ではCNCのオートツールチェンジャーのようにエクストルーダーごと交換する方式を採用したことが大きな特徴だ。これにより将来、ノズル径が異なるエクストルーダーを使った造型ができるほか、研磨加工やレーザー加工など、異なる用途のモジュールにも対応することで3Dプリント以外の利用にも応用できる。Genkeiでは3Dプリント用エクストルーダー以外のモジュールを1、2種類提供する計画(時期は未定)があるとしている。エクストルーダーの交換には約12秒かかる。交換の際に造型物からノズルが離れるため冷却されて造形崩れを防ぐ効果もあるが、今後のアップデートによって交換時間の短縮を目指しているという。
また、エクストルーダーの技術仕様書を同社のWikiで公開し、ユーザー自身でモジュールを開発したり取り替えたりすることもできるようにする予定だ。
TITAN3の外形サイズは600×600×600mm、重さは30kg。使用できるエクストルーダーは最大2つ。最大造形サイズは1つのエクストルーダーで出力する場合は300×300×300mm、2つのエクストルーダーで出力する場合は300×280x300mmとなる。積層ピッチは25~300μm。プリント速度は毎秒5~100mm。
標準で付属するエクストルーダーは、250度まで加熱できるものだが、購入時に希望すれば300度までの加熱に対応したエクストルーダーに交換可能だ(価格の変更はない)。プリントベッドは110度までの加熱に対応する。
出力対応フィラメント素材はPLA、ABS、PET、導電性PLA、PETG、PETT、ナイロン、木材/竹/コルクフィラメント、金属フィラメント、TPU、HIPS、ポリカーボネート、石膏ライク、ワックスライク、形状記憶SMPポリマー、Polysmooth、蓄光樹脂、熱変色樹脂、カーボン、水溶性PVAなど、さまざまな素材での出力に対応する。
3Dプリンタ用制御ソフトは、Genkeiが正規代理店を務め日本語版の開発にも協力した「Simplify3D」を1ライセンス同梱している(TITAN 3用の設定ファイルはGenkeiが提供する)。パソコンとの接続はUSBで行う。
また、TITAN3から保守サービスの提供も開始する。4プランがありプランに応じてメールや電話でのサポートだけでなく、出張修理や定期点検、エクストルーダー交換、緊急時の交換機貸し出し修理までカバーする。保守サービスは年額9万6000円から50万円(税別)。保守サービスは現時点ではTITAN 3のみ対応するが、今後はその他のモデルについても提供していく予定だ。