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慶應義塾大学、プラスチックシートに空気を入れて強固なプロトタイプを作れる新技術「BlowFab」を開発

ERATO 川原万有情報網プロジェクトのチームは、国際会議「UIST2017」において、空気を注入して強固なプロトタイプを作れる新技術「BlowFab」を発表した。同研究成果は、上位13件が採択される「honorable mention」を受賞している。

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BlowFabは、ラピッドプロトタイピングのための新技術で、ブロー成形とレーザーカッターを組み合わせることで、成形型を使うことなく、様々な形状の2.5Dとも呼べる固いオブジェクトを作成できる。

BlowFabは、科学技術振興機構(JST)が推進する戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)の1つ、ERATO 川原万有情報網プロジェクトに属する研究グループの成果だ。山岡潤一氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任助教)と筧康明氏(慶應義塾大学環境情報学部 准教授)らを中心とした研究チームが開発した。同研究チームは、同じくラピッドプロトタイピングに活用できるインタラクティブバキュームフォームシステム「ProtoMold(プロトモールド)」を開発している。

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BlowFabのプロセスは、まずPETシート、マスキングテープ、耐熱フィルムからなるプラスチックシートのマスキングテープ層のみをレーザーカッターで彫刻加工することで、温めた際にマスキングテープを除いた箇所のみが熱接着される。接着された箇所以外は、空洞状態になる。軟化した状態でシートに空気を注入すればシンプルな形状の造形が可能だが、表面に凹凸をつけるといったより複雑な形状にするためには、耐熱フィルムを彫刻加工する必要がある。

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加工した板をホットプレートで温めて軟化させ、マスキングテープを剥がした箇所が接着され、空洞部にシート内に空気を注入することでシートが膨らみ、その後固まる。また切り込みのパターンやポリカーボネート樹脂を組み合わせることで、膨らませた際に自動的に曲る機構も設計されている。

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固まったプロトタイプは不要になったときは、再加熱することでシート状に戻せるので、再利用が可能で無駄がない。固まった後は人の体重を支えられる耐久性があるため、フラットな板状のシートを膨らませるだけで椅子になり、使わないときは平らにするといった使い方もできる。

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研究チームは、今後より複雑な形状や大きな構造物を造形できるよう、改良をしていくとしている。

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