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「2018年版ものづくり白書」が公開——デジタル人材の育成確保などが課題

政府は、「2018年版ものづくり基盤技術の振興施策(ものづくり白書)」を閣議決定して公開した。

同書では、経営者は人材の量的不足に加え、質的不足の変化に対応できていないこと、経済社会のデジタル化などの大きな変革に対する認識が不足しており、危機感を持つべきであるとし、主要な課題としてデジタル人材を始めとする人材育成/確保の必要性や、新たな環境変化に対応した付加価値獲得の必要性を挙げている。執筆は、経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省共同だ。

photo 出展:平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策(概要)

経産省が担当する第1章では、国内製造業の足下の状況として、人手不足の課題がさらに顕在化しており、そのうちでも特にデジタル人材の確保が質/量とも課題感が大きいとしている。デジタル人材とは、ITやIoT、AI、またデジタルデータをさまざまな場面で使いこなすことができる人材、あるいはそれらを活用するためのシステム設計を手がける人材のことを指す。

また、品質管理を現場力の強みとして認識する一方、課題として捉える企業も多いとしている。さらに、デジタル時代に求められる新たな「現場力」の構築や、品質保証体制の強化を経営主導で実施していくことが重要だとする。

photo 出展:平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策(概要)

厚労省が担当する第2章では、「ものづくり人材の確保と育成」に関して、人材育成の取り組みの成果があがっている企業とあがっていない企業がほぼ二分化しており、他社と比べて生産性が高いと回答した企業が、人材育成の成果があがっていると考えている割合が高いという調査結果を発表。

人材育成における課題としては、「若者のものづくり人材を十分に確保できない」ことが最も多く、その対策として、引き続き人材育成の支援を行うと共に、技能尊重気運の醸成やものづくり分野への若年者への関心を高めていくことが必要だとしている。その他人材育成における課題として「指導する側の能力や意欲不足」や、「育成ノウハウの不足」、「指導する側の人材不足」などの割合が多くなっている。

photo 出展:平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策(概要)

文科省が担当する第3章では、「ものづくりの基盤を支える教育、研究開発」に関して、まずSociety 5.0実現に向けたイノベーション力および人材力の抜本的強化が急務であるとし、IT人材の育成や異分野との橋渡しができる工学人材の育成が重要であるとする。

小学校におけるプログラミング教育の必修化を始めとする、児童生徒の発達に応じたプログラミング教育の充実など、人材育成の基盤を担う小中学校や高校における戦略的な人材育成が求められている。また、社会人の学び直しの推進、女性研究者/理系女子への支援などのものづくりにおける女性の活躍を促進する活動の紹介が行われている。

さらに、Society 5.0を実現するために研究開発として、大学と企業の大型の共同研究開発など、共創の場の構築によるオープンイノベーションの推進、ベンチャーエコシステム形成の推進、地域の競争力の源泉(コア技術)を核とした地域イノベーションの促進が必要だとしている。

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