10年目のMakerコンテスト「GUGEN 2018」、大賞は英国発・魔法のひもで遊ぶ「knotty」
2018年12月2日、プリント基板のネット通販「P板.com」を運営するピーバンドットコムは、実用性や商品性の高い自作ハードウェア作品を表彰するコンテスト「GUGEN 2018」の展示会と授賞式を、アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京で開催した。139組の応募から一次審査を通過した59組が展示会に参加、6組のファイナリストの中から導電性のひもを使ったおもちゃ「knotty」が大賞に選ばれた。
knottyはイギリスのRoyal College of Art出身の丸山紗季氏とダニエル・コッペン氏によるユニット「Studio PLAYFOOL」が開発。押しボタン、振動センサー、マイクの入力モジュールと、ライト、モーター、ブザーの出力ブロックを導電性のひもで結ぶことでオリジナルの遊びを作れるおもちゃだ。
大人の指示通りに手を動かすのではなく、自発的な成長を促すことを目的としているのが特徴で、製品の完成度とあわせてワークショップや実証実験を重ねながら開発している点が評価された。現在は製品化に向けて日本国内で準備を進めているという。
その他、主要な受賞作品は以下の通り。
優秀賞:elet - 簡単電気プラットフォーム
「elet」は専用のコンセント経由で電源を提供することで、誰でも簡単に電気を売買できるプラットフォームサービス。専用コンセントに添付されているQRコードをスマートフォンで読み込み、LINE Payや仮想通貨で代金を支払うことで電気が利用できる。さまざまなIoT機器や電動のモビリティが普及することで、自宅や店舗の電気を売買するニーズがあると見込んで開発したという。
既に海外では充電器のレンタルサービスもあり、シェアリングエコノミーの時代に沿った提案が高評価を得た。
優秀賞:小型軽量な小児用の電動義手
大阪工業大学院生の小林冬弥氏が開発した「小型軽量の小児用の電動義手」は、筋肉の隆起をセンシングして三つ指のロボットアームを制御できる。1台あたり5万円以下で開発可能で、おもちゃのような見た目にすることで子どもの関心をひきつけ、義手の使用を促す目的で開発された。
筋肉の隆起によるセンシングは皮膚のコンディションや身体の成長の影響を受けにくく、最短5秒でキャリブレーションが可能だ。もともと東京大学と大阪工業大学で共同研究していた技術を小林氏が子ども向けに応用して開発している。
Goodアイデア賞:PAX
「PAX」はヘルメットを装着することで自転車のロックを解除できる通信機能付き自転車ロックシステム。親の目が届かない環境でも、子どもが確実にヘルメットを着用できるのが特徴だ。
法政大学院でデザイン工学を選考する学生らが開発した。児童の自転車事故の大半が頭部の損傷であるにも関わらず、ヘルメットの着用率が25%と非常に低いことが開発のきっかけになったという。
学生賞:BLOODピッと!
「BLOODピッと!」は注射器による採血無しで脈波、血中酸素、血糖値を測定できるセンサーモジュールと、健康のためのトレーニングを支援するトレーニングアプリ。独自開発したセンサーを使い、LEDライトの上に指を置くだけで脈波、血中酸素、血糖値を解析する。解析したデータはスマートフォン経由でデータを記録し、過去のデータを踏まえた病気予測や食事メニューやトレーニングの提案をアプリで行う。
愛媛県の国立弓削商船高専に在学する学生らが開発した。既に特許申請中で製品化に向けて実証実験を進めているという。
GUGEN 2018は、GUGENとして今回で6回目の開催で、前身の「電子工作コンテスト」から数えると10回目の節目を迎えた。今回は一般社団法人MAが主催する開発コンテスト「Mashup Awards」と組み、展示会と表彰式を共同開催した。
(写真提供:GUGEN、撮影:加藤甫)