4chオシロでRaspberry Piをデバッグ——キーサイト、InfiniiVision 1000Xシリーズオシロを体験できるワークショップを開催
キーサイト・テクノロジーは、同社の4chオシロスコープ「DSOX1204」を使い、Raspberry Piとセンサーモジュール間のSPI通信のデバッグを体験できるワークショップを開催した。
InfiniiVision 1000XシリーズオシロスコープDSOX1204は、アナログ周波数帯域70MHz(最大200MHzへアップグレード可能)、サンプリングレート毎秒2GSa、入力チャンネル数4ch、メモリ長1Mpts、最高波形更新レート毎秒5万wfmsと、エントリークラスの価格帯ながら高い性能を備えている。
DMM.make AKIBAで開催された今回のワークショップでは、DSOX1204を使って、Raspberry Pi用自作デスクトップキット「Pi-top CEED Pro」に組み込まれた「Raspberry Pi 3 model B」と9軸MEMSモーションセンサーモジュール「MPU-9250」間のSPI通信のデバッグを体験できるというものだ。
SPIは同期シリアル通信方式で、バスに接続されたスレーブをSS(スレーブセレクト)信号で選択。CLK(クロック)に同期させながら、MOSI(Master Out Slave In:マスター側Tx)とMISO(Master In Slave Out:同Rx)の2本の通信線でデータをやり取りする。通信線は合計4本なので、入力4chのDSOX1204を使えばすべての波形が一度に見えるので、デバッグも容易だ。
DSOX1204のパネルには1~4のCHボタンがあり、各CHを順に選択して電圧感度とオフセットを調整できる。トリガー条件もサブメニューの一覧から選択するなど、操作パネルはコンパクトにまとめらている。
ワークショップでは、Raspberry PiからMPU-9250に対して500kHzのSPI通信で、Tx:”F5 00”を送信、Rx:”00 71” を受信、これを繰り返すというプログラムを走らせ、実際にどのような通信波形が見られるのかを体験した。
このように、SSをLにしてスレーブ(MPU-9250)を選択、CLKに同期させてMOSIに”F5 00”を送信、そしてMISOで”00 71”を受信していることが電圧波形で確認できる。
また、SPI通信のデコード機能を利用すれば、TxとRxに流れている信号をデータとして表示してくれる。プログラムが送信しているデータと、実際の通信内容を直接比較できるので、送受信内容が正しいか、通信エラーなどで誤認識されていないか、簡単に確認することができる。
こうした通信バスのモニターは、これまで専用のプロトコルアナライザーが必要だったが、DSOX1204はSPI/I2C/UART/RS232などのシリアル通信デコード機能を搭載できるため、マイコンボードと各種センサー基板、周辺機器との通信を自作する場合に、強力な解析ツールとして利用できるだろう。
今回のワークショップで使用したDSOX1204G(70MHz、波形発生器内蔵)の希望小売価格は14万3062円。トリガ・プロトコル解析機能(D1200EMBA)は1万7431円の追加オプションだ。