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レーザー誘起グラフェンベースの高精度ウェアラブルガスセンサーを開発

IMAGE: CHENG LAB, PENN STATE

ペンシルベニア州立大学を中心とした国際共同研究チームは、「レーザー誘起グラフェン(LIG)」をベースに、二硫化モリブデンと還元型酸化グラフェンのナノコンポジットを組み合わせて、環境センシング向けの伸縮可能なウェアラブルガスセンサーを開発した。研究成果は、『Materials Today Physics』誌に2020年8月19日付でオンライン公開されている。

近年、多孔質のLIGは、多くのセンシングアプリケーション開発で注目されている。自己発熱機能を持ち、伸縮性のあるLIGをベースにしたガスセンシングプラットフォームは、ナノマテリアルを用いてガス検知をする際に従来使用されている「くし型電極(IDE)」の代替となることは、すでに実証されている。

今回研究チームは、ガスを検知するナノマテリアルの形態や形状が、ごく微量のNO2分子を検出する際の感度にどのような影響を与えるか、LIGプラットフォームとIDEそれぞれで検討した。

二硫化モリブデンと還元型酸化グラフェンのナノコンポジットは、細かく砕いた塩を詰めた容器内で合成した。ナノコンポジットは塩の結晶間の小さな空間に形成するため、結晶の大きさを変えることで、合成するナノコンポジットの大きさと形状の制御を可能にした。

LIGプラットフォームとIDEを用いて、ナノコンポジットのNO2検出感度を調べたところ、最も小さな塩の結晶で作製したナノコンポジットの感度が最も高く、検出限界は4.4ppbと、従来型センサーの10倍以上の性能を得られる可能性が認められた。

今回の開発では、ナノコンポジットの形態とセンサープラットフォームの構成を制御することで、感度とSN比を向上させた。また、クリーンルーム中でのリソグラフィプロセスが必要なIDEを用いる従来の手法と比べて、LIGプラットフォームを使用したガスセンサーは製造プロセスを簡素化できる。さらに、自己発熱機能によりヒーターも必要としない。伸縮性のあるウェアラブルNO2ガスセンサーは、環境モニタリングやヘルスケア産業での応用が期待される。

fabcross for エンジニアより転載)

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