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エレファンテック、インクジェット技術による大型量産実証拠点稼働開始を発表

インクジェット技術でフレキシブル基板を製造するエレファンテックは、同社が展開する片面FPC「P-Flex」の大型量産実証拠点の稼働を開始したことを発表した。2021年2月17日にオンライン開催された記者発表会から報告する。

photo エレファンテック代表取締役社長 清水信哉氏

東京大学発スタートップであるエレファンテックは、2018年に東京都中央区にてFPCの小規模量産実証拠点を立ち上げ、2019年に総額18億円の資金調達を実施。同年10月に三井化学と戦略的提携を結び、三井化学名古屋工場内の敷地での量産実証拠点(AMC名古屋)立ち上げに取り組んでいた。今回の発表で、AMC名古屋は2021年1月から試作品の製造、出荷を開始しており、4月には量産製品の製造、出荷を開始する計画であることが明らかになった。

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同社のFPCは、銀ナノインクを使うインクジェット方式と銅メッキを組み合わせた「ピュアアディティブ法」で製造されている。従来の製法であるエッチング/サブトラクティブ法と比較し、工程が少なく納品のリードタイムが少ないことや、レジストやエッチングで大量に発生する廃液、排水がなく、環境負荷が低いという特徴がある。また、試作工程から製造プロセスを変更せず、そのまま量産工程への移行が可能というメリットもある。

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記者発表会において、同社代表取締役社長の清水信哉氏は、AMC名古屋の役割として、「世界の標準となるマザー工場」「インクジェットイノベーションの拠点」「スタートアップと大企業の共創実証拠点」の3つを掲げた。AMC名古屋の生産能力は2021年に月産5000平方メートル、その後設備を増設し2024年に月産2万平方メートルを確保するとし、この増設分を含む設備投資金額に最大で14億円を見込んでいる。

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同社は、「新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る」というミッションを掲げている。清水氏は、同社の今後の取り組みにも触れ、2030年を目途に、FPCの量産設備、装置の販売を通じて、世界のFPCの10%を本製法に置き換え、低環境負荷である本製法を世界のデファクトスタンダードとするという目標を語っている。

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