3Dプリンターを活用したアフリカでのペットボトルリサイクルプロジェクト「Circular Plastics」
2021/10/04 07:30
使用済みのプラスチックボトルを材料にして、必要な物を3Dプリンターで作るリサイクルプロジェクト「Circular Plastics」がアフリカで進行中だ。
これは、国民1人当たりの年間総所得が750~3000ドルほどの低中所得国においてリサイクル可能な廃物がもたらす影響を減らすことを目的とした18カ月のプロジェクトで、英ラフバラー大学が実施している。
プロジェクトの一環として、既にプラスチックボトルを材料にしたフルーツピッカーが3Dプリンターで作られており、そのフルーツピッカーを使ってアボカドを収穫している写真が公開されている。
英Engineering and Physical Sciences Research Council(EPSRC)から15万ポンド(約2300万円)の資金提供を受けたこのプロジェクトは、ペットボトルを有用な製品に作り替えることで、農業、漁業、建設などアフリカの現地企業を支援することを目指している。材料となるペットボトルは、ケニア、ルワンダ、ナイジェリアで集められ、洗浄、破砕し、乾燥させてから3Dプリンター用フィラメントに加工される。
ラフバラー大学のMark Evans博士は、「このプロセスは、廃棄されるプラスチックボトルを3Dプリンター用フィラメントに変換することで、プラスチックボトルのリサイクルと魅力ある経済的提案を実現している」と説明する。
現在開発中の製品には、果物収穫時に使用するフルーツピッカーの他に、波の力を利用してボートの水をくみ出すベーラー、電気を使わずに内容物の温度を最大で10℃下げるミルククーラーなどがある。全部で6種類の製品を開発中だが、どれも現地の事情に合わせたユニークなものばかりだ。
Evans博士は「これをルワンダ、ケニア、ナイジェリアの関係者たちが関与する工業デザイン手法と統合することで、工具なしで複雑な形状を造れる3Dプリンターの性能により、通常では実現できないニッチな製品の製造が可能になった」と、このプロセスのメリットについて述べている。