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「James Dyson Award 2021」、28カ国で最優秀賞が決定——ベルギーでは3Dプリンター製装具「ManiFlex」が選出

ジェームズダイソン財団が主催する「James Dyson Award 2021」に参加する28カ国それぞれの国内最優秀賞が決定した。2021年10月13日に、この中から国際最優秀賞を決めるコンペティションが開催される。

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James Dyson Awardは、次世代のデザインエンジニアを称え、育成、支援するための国際エンジニアリングアワード。デザインやエンジニアリングを学ぶ学生や、卒業後4年以内の若手エンジニアやデザイナーを対象者とする。

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ベルギーで最優秀賞を受賞したのは、脳性まひの子ども用の筋緊張緩和装具「ManiFlex」を開発したアントワープ大学の学生Mano Balliu氏。TPU(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)を材料に、マルチジェットフュージョン方式の3Dプリンターで作製する。

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脳性まひの子どもは腕や手にこわばりが出やすく、体に大きな負担がかかり深刻なダメージを生じることもある。そんな筋緊張を緩和する装具はあるが、Balliu氏によると一般的な装具を装着すると手を自由に動かせず、場合によっては痛みが出たり、装具が高価な上、カスタマイゼーションに対応できなかったりなどの問題があるという。こうした問題を解決するため、Balliu氏は積層造形技術を活用した装具の作製に着目した。

TPUは厚みを変えることで 柔軟性と硬さのバランスを調節できるという特徴がある。フレックス(曲げ)ポイントにこれまで使われてきたメカニカルヒンジが不要になり、厚みを調節することで一定の抵抗を出すこともできる。装具のリブは厚みを加え硬くし、全体的に安定性を高める。

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ジョイントは自由に動かせると同時にある程度の抵抗もあり、まひを無理に抑えることなく機能活動も可能になるという。現時点ではプリンティング工程などの改善が必要だが、今後も開発を進め製品化を目指すとしている。

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