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光の強さで色の濃さが変わる調光コンタクトレンズ

屋内では無色透明、屋外では紫外線の量に応じて発色する調光レンズ(フォトクロミックレンズ)の歴史は古く、1966年に米Corning社から発売されたガラス調光レンズ「PhotoGray」に始まる。1964年頃にCorningの科学者によって発明されたガラス調光レンズは、溶融ガラスにハロゲン化銀結晶を加えたもので、完成したレンズは紫外線に反応してわずか数分で暗くなり、約15分で最も暗くなったという。

1980年初頭に登場したプラスチック調光レンズの場合は、スピロオキサジン、ナフトピラン化合物などのフォトクロミック材料が紫外線を吸収、フォトクロミック分子の形状が変化し、より多くの可視光を吸収して暗くなることを利用している。

50年を超える歴史を持ち、メガネやサングラスに広く使われる調光レンズだが、コンタクトレンズに使われるようになったのは、比較的最近のことだ。米食品医薬品局(FDA)が、Johnson & Johnson Vision Careの「Acuvue Oasys Contact Lenses with Transitions Light Intelligent Technology」を認可したのは2018年4月10日、「アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光」の商品名で日本で発売されたのは、2019年12月12日のことだ。この調光コンタクトレンズに使われている技術は前述のプラスチック調光レンズと基本的に同じだが、メガネに比べ非常に小さく薄いレンズに搭載するため、フォトクロミック材料の選定から製造方法の確立などの試行錯誤を重ね、構想から商品化まで10年以上を要したという。

認可にあたり、FDAは24人の被験者に対しコンタクトレンズを装着した状態での昼間/夜間の運転能力を評価した臨床研究を含む科学的根拠を検討した。結果はレンズを装着している間の運転能力、視力のいずれにも懸念はないことを示している。

目の健康維持のため、屋外の強い光をカットする調光レンズは欧米で普及しているが、日本での本格導入はこれからと言えるだろう。

fabcross for エンジニアより転載)

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