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結晶の共振固有振動による大きく高速な屈曲を発見

早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構の小島秀子招聘研究員と、同大理工学術院の朝日透教授、同大学大学院先進理工学研究科4年/日本学術振興会特別研究員の萩原佑紀氏らの研究グループは、東京工業大学物質理工学院の森川淳子教授らと、結晶に光を照射することで固有振動が起きて高速屈曲が生じることを発見した。さらに、その固有振動と同じ周波数の光を与えることで、共振により屈曲が大きく増幅することを発見した。

これまで、光や熱などの外部刺激を動きに変換する「メカニカル結晶」の開発では、光異性化や相転移、光熱効果などの現象が駆動源として用いられてきたが、高速かつ大きな動きを創出することが難しいなどさまざまな課題があった。

今回の研究の鍵になったのは、物体に外力を加えた際、特有の周波数で振動し続ける固有振動だ。固有振動と同じ周波数の外力を加えると、共振により振動が増幅される。例えばギターやサックスなどの楽器は、弦やリードの動きで音(振動)を作り、箱や筒の中で共振させることで音を増幅している。このように固有振動は日常に広く関係しているが、動く材料を作るという観点では注目されていなかった。

同研究は当初、熱膨張の大きい有機結晶に注目して、光熱効果による大きな屈曲を創出することを目的としていたが、共振固有振動によって結晶の大きく高速な屈曲が創出されることを発見した。

また、結晶の形状を変えることでさまざまな共振固有振動が観察でき、光異性化、光熱効果、非共振固有振動による屈曲と比較した結果、最も速い屈曲速度かつ最も高いエネルギー変換効率が得られることが判明した。

正確な周波数のパルス光を照射するため、Arduinoによる制御システムを構築した。光熱効果と固有振動の合わさった屈曲をシミュレーションするため、物理現象の計算に適している有限要素法を用いている。

同技術は今後、汎用性の高い高速結晶アクチュエータやソフトロボットに応用されることが期待される。

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