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3Dプリント義足のインスタリム、ウクライナの人を支援するクラウドファンディング開始

3Dプリントで製作した義足の提供を通じて、ウクライナを支援するプロジェクトがREADYFORに登場した。

プロジェクトを担当するインスタリムは、3Dプリント義足を手がける日本のスタートアップだ。

2019年に総額8400万円を資金調達した後、3Dプリント義足事業をフィリピンで開始した。翌年の2020年2月には、フル3Dプリントの義足を提供するプロジェクトをCAMPFIREで実施している。また、2021年には総額2.4億円の資金調達に加え、経済産業省による事業再構築補助金や、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による課題解決型福祉用具実用化開発支援事業などの各種支援にも採択されている。

今回READYFORで開始したクラウドファンディングの目的は、ウクライナで義足を必要としている人々へ3Dプリント義足を100本提供し、その製造技術をウクライナへ届けることだ。

プロジェクトのきっかけになったのは、スイスの国連担当者から届いた、ウクライナの現状について書かれたメールだ。2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻により、ウクライナでは何千もの人々が足を失い、またインフラへの攻撃などにより電気も届かず、義足を満足に作れない状況にあるという。

インスタリム代表の徳島泰氏は2023年1月末にウクライナのリヴィウに直接赴き、3つの病院と義足製作所を訪問して、義足の提供における現地の状況について確認した。

同社によると、3Dプリントによる義足製作の場合、問診や採型、石膏やプラスチックの加工といった工程をCADや3Dプリント出力で代替できるため、1名の義肢装具士がつくれる義足の本数を10倍以上に増やせるとのことだ。

プロジェクトは、義足が必要な人を支援するウクライナ国内のプロジェクト「Unbrokenプロジェクト」と協力しながら実施する。インスタリムからUnbrokenに対して義足製作用のソフトウェアと3Dスキャナーを提供するほか、義肢装具士に義足製作についてのレクチャーを行う。また、Unbrokenのメンバーが支援を必要とする人のスキャンデータをインスタリムに共有し、インスタリムのインド拠点で製作した3Dプリント義足100本を製作してウクライナへ輸送する計画だ。

支援プランは複数の金額のものが用意されており、オンライン対談イベントへの参加権や、日本オフィスの見学などをリターンとして用意している。また、現地での活動状況に加え、義足提供の状況を写真や動画でまとめた活動報告を予定している。

今後のスケジュールとして、2023年6月に必要部材等の購入や部材の現地への送付を開始。同年7月に現地の義肢装具士に義足製作についてレクチャーを予定している。同年8月に義足製作を開始し、月約20本程度のペースで製作予定だ。

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