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MIT、硬化が遅い高性能素材でも造形できるマルチマテリアル3Dプリンティングシステムを開発

米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、MITからのスピンアウト企業である米Inkbit、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)と協力して、従来は使用できなかった素材にも対応した新しいマルチマテリアル3Dインクジェットプリンティングシステムを開発した。

同システムは「Vision-Controlled Jetting(VCJ)」という手法を採用しており、高フレームレートカメラ4台とレーザー2基を備え、1万6000個の極小ノズルで液状化レジンを噴射し、UV光で硬化させる仕組みだ。

MIT Vision-Controlled Jetting 3D printing system

このシステムは、コンピュータービジョンを利用して造形中に層の表面を自動的にスキャンし、各ノズルが噴射するレジンの量をリアルタイムで調整することで、レジンが常に均等に堆積されるようにしている。自動システムはプロセスを停止したり遅延したりすることなく調整するので、他の3Dインクジェットプリンティングシステムより約660倍も高速に造形できるという。

MIT Vision-Controlled Jetting 3D printing system

このシステムの特徴は、柔軟性と剛性を兼ね備えたハイブリッド構造物を造形できることだ。例えば、重い物体をしっかりとつかみながら柔軟性もある、人間の手のような形状のロボット用グリッパーも製造できる。

MIT Vision-Controlled Jetting 3D printing system

従来のマルチマテリアル3Dプリンティングシステムでは、硬化が遅いタイプのレジンは平滑化プロセスで問題が発生する可能性があるため、使用できる材料の種類に制限があった。しかし、このシステムでは造形中の層表面を平滑化するための治具が不要であるため、アクリレートよりも硬化が遅いチオール系材料に対応している点がメリットだ。

チオール系材料で3Dプリントすると、アクリレートよりも優れた弾力性や耐久性を持ち、より長持ちする物を製造できる可能性がある。

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