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現地の土を使用して建物を3Dプリント——サステナブルな建築の新たな可能性

イタリアのWASPは2024年7月12日、同社の建設用3Dプリンター「Crane WASP」が、スペインのコルセロラ自然公園に建てられた「TEIXIT」の建設に使用されたと発表した。TEIXITは、現地の土と自然素材を使用した建物だという。

IAAC(Institute for Advanced Architecture of Catalonia)の研究者と学生たちは2022年に、同公園の「3Dプリント地球の森キャンパス」に1軒目の建物となる「TOVA」を建設した。TOVAは2023年、新欧州バウハウスにおいて「循環型産業エコシステムの形成」賞を受賞し、欧州委員会のUrsula von der Leien委員長によって「土でできたサステナブルな建物をプリントする最先端の3Dプリント技術」と評価を受けた。今回は100平方メートルのTEIXITを2軒目として建ててキャンパスを拡張し、生活と作業のスペースとして活用する計画だ。

TEIXITの土壁には現地の土を使用した。建設予定地からわずか数m先の地面を掘り、有機物を含まないように地下0.5mよりも下にある土を掘削した後、日光で乾燥させて、ふるいにかけて大きな石を取り除き、水と混ぜて有機繊維と天然酵素で補強した。Crane WASPに注入し、4週間かけて長さ12m、重さ6トン分の壁を3Dプリントした。壁が十分に乾燥してから、内部の空洞を通してケーブルを挿入し、屋根構造を基礎に固定した。

建設業界は現在、世界のエネルギー関連における二酸化炭素(CO2)排出量の39%を占めており、11%は鉄鋼、セメント、ガラスなどの建築材料等の製造によるものだという。IAACはTEIXITを通じて、サステナブルな建築の新たな可能性を示したい考えだ。

fabcross for エンジニアより転載)

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