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SOLIDWORKS WORLD 2016レポート

SOLIDWORKSユーザーイベントで見た、3D CADを使ったものづくりのこれから

多層基板3DプリンタやSOLIDWORKSから直接印刷できる3Dプリンタなどが展示

基調講演後はたくさんの技術セッションが併行して行われるのだが、それと同時にオープンしているのがプロダクトショーケース(展示)だ。SOLIDWORKSを使って設計されたプロダクトやSOLIDWORKSと組み合わせて使うソフトウェアツールなどがメインだが、3Dプリンタメーカーが何社も出展していた。それらの中からfabcross視点で選んだいくつかを紹介する。

Nano Dimensionの「DragonFly 2020 3D Printer」は、SOLIDWORKSを使って開発された、プリント基板(PCB)3Dプリンタだ。ナノインク技術によって基板(絶縁部)と回路(導電部)を3Dプリントでき、200×200mmサイズ、最大厚さ0.3mmのプリント基板を一気に作成できる。レイヤーの最小厚さは3μm。プロトタイプ基板やカスタム基板の製造用途を狙っている。2016年にプリオーダーを開始する予定だ。 

PCB 3Dプリンタ「DragonFly 2020」 PCB 3Dプリンタ「DragonFly 2020」
DragonFly 2020で出力したプリント基板。 DragonFly 2020で出力したプリント基板。

韓国のプリンタメーカーSindohは、リコーと組んでオフィス用プリンタ事業を展開してきたが、新規事業として3Dプリンタに参入した。同社初の製品で1月に発表したFFF(熱溶融積層)方式3Dプリンタ「3DWOX DP200」を展示していた。最大造形サイズは210×200×195mm、最小積層ピッチは50μm、1ヘッドで1.75mmフィラメントを使用する。オフィス製品を手がけたノウハウを生かして、カラータッチパネルによる洗練されたユーザーインタフェース、フィラメントのヘッドへの自動ローディング機能、プリントモニタリングカメラ、簡素化されたプリントベッドレベリング機能など使いやすさがポイントだ。SOLIDWORKS用アドインツールを使うと、SOLIDWORKSで設計したデータをSOLIDWORKSの中から直接DP200で3Dプリントでき、モニタリングカメラの映像もSOLIDWORKSから離れることなく確認できる。価格は1299ドルで、米Amazon.comで販売している。残念ながら現時点で日本での発売予定はないという。

Sindoh「3DWOX DP200」。プリントベッドの右側に見えるケースの中にフィラメントを格納している。 Sindoh「3DWOX DP200」。プリントベッドの右側に見えるケースの中にフィラメントを格納している。
3DWOX DP200のプリントヘッド部分のアップ。シングルヘッドプリンタだが、フィラメントのローディング/アンローディングを自動的に行えるため2種類のフィラメントを切り替えて造形することも容易。 3DWOX DP200のプリントヘッド部分のアップ。シングルヘッドプリンタだが、フィラメントのローディング/アンローディングを自動的に行えるため2種類のフィラメントを切り替えて造形することも容易。

2013年に、カーボンファイバーを配合したフィラメントで出力できる世界初の3Dプリンタ「Mark One」を発表した米MarkForgedは、第2世代製品「Mark Two」をSWW2016で初めて展示した。プリント速度は40%向上し、従来機同様のカーボンファイバー、グラスファイバー、ナイロンに加えてケブラーを配合したオブジェクトを出力できるようになった。プリントヘッドを2つ備えており、1つはナイロン専用、もう1つはカーボンファイバー/グラスファイバー/ケブラー用で、これらを複合出力して産業用アルミニウムに匹敵する強度を持ったオブジェクトを作成できる。Mark Twoの最大造形サイズは320×132×154mm、最小積層ピッチは100μm。価格は5499ドル(約62万円)。MarkForgedはSOLIDWORKSを使って設計を行っており、2年前のSWWでは基調講演に創設者兼CEOのグレッグ・マーク氏が登場している。

MarkForgedの新製品「Mark Two」。Mark Oneほぼそのままのデザインだが、底面手前に新たに液晶ディスプレイが追加された。左側に見えるノートパソコンの上に置いてあるのは、Mark Twoで出力したボールジョイントの部品。 MarkForgedの新製品「Mark Two」。Mark Oneほぼそのままのデザインだが、底面手前に新たに液晶ディスプレイが追加された。左側に見えるノートパソコンの上に置いてあるのは、Mark Twoで出力したボールジョイントの部品。

米3Dプリンタメーカーでデルタ型3Dプリンタキット「Rostock MAX」で知られるSeeMe CNCは、高さ約5mの巨大なデルタ型3Dプリンタ「The Part Daddy」を会場に設置し、会期中ずっとスツールやオブジェを出力していた。最大造形サイズは直径1220×高さ2900mmと超大型。SOLIDWORKSを使って2週間で設計し、6週間で作り上げたという。

SeeMeCNCの「The Part Daddy」。左の人物と比べるとその大きさがよく分かる。手前に黒く見える人型は、10歳の少年を3DスキャンしてThe Part Daddyでプリントしたもの。プリントには24時間を要したという。 SeeMeCNCの「The Part Daddy」。左の人物と比べるとその大きさがよく分かる。手前に黒く見える人型は、10歳の少年を3DスキャンしてThe Part Daddyでプリントしたもの。プリントには24時間を要したという。
The Part Daddyのプリントヘッド部分のアップ。ノズル径は4mm、1時間に約1.8kgのフィラメントをプリントする。 The Part Daddyのプリントヘッド部分のアップ。ノズル径は4mm、1時間に約1.8kgのフィラメントをプリントする。

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