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イベントレポート

地方イベントに行こう!長野県発の「上モノラボ」は上田と東京のMakerの人間交差点だった

真面目な長野のMaker、ユニークな東京のMaker

ピグマルのitogさん(写真左)とHanaLab./ループサンパチの井上さん(写真右)。 ピグマルのitogさん(写真左)とHanaLab./ループサンパチの井上さん(写真右)。

このイベントを企画した中心人物が、ピグマルのitogさんと、コワーキングスペースHanaLab./ループサンパチの井上拓磨さんのお2人だ。もともとitogさんはエンジニアとして東京で活動していたが、ピグマルが長野県の「まちなか・おためしラボ」事業に採択され、2015年10月から活動拠点を上田市に移した。その時に事業の拠点として紹介されたのが、上田地域に3か所の拠点を持つ、HanaLab.だった。

「スゴイラボの河上 達さんをはじめとする東京の知り合いから、上田ツアーを企画せよと言われて、ピグマル移転ツアーを実施しました。その時に、このHanaLab.CAMPを見て、ここで何かできないかと思ったのが、上モノラボ企画のきっかけです」(itogさん)

そこでitogさんは、HanaLab.を巻き込んで実際のイベント企画に動き始めた。話を持ち掛けられたHanaLab.側も「現在はPCの作業をする人が中心のコワーキングスペースだけれども、将来的にはリアルなものづくりの観点で、製造業とのコラボレーションをしたいとも考えていました」(井上さん)と、双方の方向性が一致したこともあり、itogさんの呼び掛けに応えた。itogさんは東京のMakerたちに声を掛けて、出展などを依頼した。上田と東京は新幹線で1時間半ほどの距離。ちょっとした遠足気分で遊びに行ける距離感もあって、10組近くの出展者が東京から参加した。「長野の人だけでは、真面目になりすぎてしまっていたかもしれません。東京のユニークな展示とうまくミックスできたのがよかったと思います」と井上さんは語る。 

市や地域若手経営者の支援がイベントの広がりを作る

上モノラボの前日には、東京から訪れたMakerたちと、地域の製造業を回るツアーを実施。上田市の隣に位置する坂城町の製造業若手経営者の勉強会である「坂城町経営革新塾」の協力で、射出、切削、レーザー加工の工場などを回るバスツアーを実施した。参加者からは、上田地域の製造業の高い技術力を感じるツアーだったとの声も聞かれた。

前日に実施されたツアーの様子(写真提供:itogさん)。 前日に実施されたツアーの様子(写真提供:itogさん)。
ツアーでは味噌工場も見学(写真提供:itogさん)。 ツアーでは味噌工場も見学(写真提供:itogさん)。

上田市は古くは養蚕業が盛んな地域で、明治時代には日本の主力産業であった繭の重要な供給地であった。戦後も電気機器、自動車部品などの生産が盛んで、さまざまな規模の製造業が存在する地域でもある。エリア内の工場は対応している加工の種類も豊富で、試作や製造の要望に対して、ワンストップで対応ができる土壌があった。今後これらの企業のリソースが東京と結びつくことで、新たなビジネスが生まれることも期待される。

今回のイベント実施に関しては、上田市の支援も大きかった。井上さんによれば、役所と市民の垣根が低いのも上田市の特徴だという。HanaLab.も立ち上げの際に上田市からのサポートを受けており、上モノラボもそういった縁を生かして、地元の製造業から協賛を得ることができた。集客面でも商工会議所経由や上田市関連のメーリングリストで告知をするなどで協力をしてもらっている。

井上さんをはじめとするHanaLab.のスタッフと、東京から来たitogさんのコンビネーション、そして上田市と地域の若手経営者たちがうまく組み合わさったことで、さまざまな方面にこのイベントの影響が波及している。 

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