イベントレポート
世の中の偏差値を下げろ!「頭の悪いメカ発表会」
バカ工作とファッションの出会い
ここからは本日のメインイベント、登壇者が今回のイベントのために用意した新作の発表だ。テーマは「ファッション」。猫も杓子もウェアラブルな世の中に対して、ダメ工作からはどのようなアプローチが飛び出すのか。
ゲストコメンテーターには、ロボティクスファッションクリエイターのきゅんくんが登場。ロボットが好きすぎて一緒にいたいという思いで作った、ウェアラブルロボットアームMETCALFシリーズを紹介した。
これは電気で動かしているんですか?
スマートフォンで操作をしていますが、基本的にはサーボモーターを動かしているだけです
じゃあ一緒ですね
急に仲間意識が芽生えてる
「人を殺せるメガネ」
それでは、メンバーが作った新作を見ていこう。まずは、再び石川さんからスタート。
石川さん曰く、頭の悪い人がなりたがる職業No.1はスナイパー(理由:なんかかっこいいから)。しかし、実際に銃を持つと法律に反して捕まってしまう。そこで、銃刀法違反で捕まらないために、メガネで人を殺せるようにしたという。
早速その姿と破壊力をご覧いただこう。
バネで勢いよく飛び出したメガネが、見事ポテトチップスの容器を倒した。人を殺せるかどうかはさておき、十分すぎる威力とスピードだ。
見事な完成度のスナイプメガネ。しかし、まさにこのイベントの当日、ほとんど同じコンセプトの作品が発表されるという悪い奇跡が起こっていた。
恐ろしいかぶり方をしてしまったんですけど、僕は1カ月前からコツコツ作ってきたし、土佐社長は今朝になってもできてなかったようなので、僕の方が早い。もしくは土佐社長をスナイプするしかない
謎の力で石川さんがネットから消えるかも
刃物とかつけてもっと殺傷能力高めたいですね。でも証拠が残ってしまうことが難点
今日のテーマは『殺し』じゃないですから
「ウェアラブル回転イカ一夜干しマシン」
長崎で見た、イカを干すマシンにいたく感動したという爲房さん。
すごくかっこいいし、回転しているのでエンタメがあって機能美もある。ぜひ身につけたいと思った
そこで完成したのが、世界初の着られるイカ干し装置、「ウェアラブル回転イカ一夜干しマシン」である。
画用紙のイカがフラフープにつけられ勢いよく回る! 腰回りのパイプにモーターが仕込まれており、そこに乗ったフラフープが激しく回転するという仕組みだ。
私もよくスカートを回したいとか考えるんですけど、結構難しいんですよ。それがちゃんと回っていたのですごいと思います
しかし内側のパイプは爲房さんが直接手で持つ必要があり、実はほぼ身動きを取れない。機能美に憧れて作ったはずが、身につけた瞬間それがどこかへ行ってしまうという儚さを感じる作品でもある。
「コアラのマーチの絵柄を消すマシン」
てらおか現象さんが目をつけたのは、またもやお菓子。「コアラのマーチ」に描かれているコアラは、現在366種類もの柄=ファッションに身を包んでいるという。
でも、僕はファッションに興味がないんです。
だからファッションを消します
怖い
ここで装置の実演。ゆっくり進むコアラのマーチの上で、湿らせたスポンジを高速回転させることで絵柄をにじませて消すという仕組みだ。
すごーい!
服だけじゃなくてコアラも消えてますけど。本来のコアラってのは、顔すらもない姿のことなんですか?
そうですね。所詮印刷なんで
今日ロッテの方来てないですよね?
会場からは悲鳴に近い声も聞こえたが、見事に消えたコアラのマーチ。ファッションを全否定し、ウェアラブルの流れにもなびかない孤高のアプローチであった。
「全自動ハンカチ落としマシン」
いくらオシャレに気を使ってもモテない人はモテない、と語る藤原さん。そこで今回は「自然と出会いが増えちゃうマシン」を作ることにしたという。
ナンパされるためには、女性が何かアクションを起こさないといけない。私がハンカチを落としたらその先に何かあるんじゃないかと思って
そうして作られたのが、この「全自動ハンカチ落としマシン」。適当に落として変な人が拾っても困るので、GoProでモニターしてイケメンが後にいたら落とす仕組みが組み込まれている(ガムテープで)。
すごい機能的なファッションですね
きゅんくんにも作ってあげますよ
ちなみに、実際に装置を頭につけて原宿を歩いたところ、出会いどころか皆が避けて歩いて行ったという。現実は非情である。
「ドキドキアホ毛マシン」
アニメが大好きなマンスーンさんは、誰もアホ毛に目をつけていないことに着目。アホ毛をなんとかデバイスにしたいということで、おもむろにカチューシャを取り出した。
カチューシャに装着されたLEDが、指にはめた心拍センサーに応じて点滅している。さらに、ここでアホ毛のスイッチを起動すると……
あまりにも繊細。しかし、確実に心拍に応じてアホ毛が動いている!
アホ毛には、電気に応じて伸縮するバイオメタルファイバーという素材が利用されている。サーボモーターと違って駆動音がしないことが、こだわりポイントだ。
アホ毛はかわいいから、その方向に着目するのはよいと思う。女の子とかコスプレイヤーに売れるかも
きゅんくんと近くてめっちゃドキドキしているので、アホ毛の動きが早くなってますね
風車服/一人花吹雪
森さんの番になったが、壇上にはその姿が見えない。帰ってしまったのでは?と思われたその瞬間、控え室から何かが飛び出した。
なんなんですかコレ
風車服ですね。ウェアラブル風車。見てわかる通り、風車を服につけたっていう
説明不要のインパクト。そして、風車は扇風機から風をあてて回す。
モーターを使ってないのが面白い
そう、皆さん電気に頼りすぎなんですよ
扇風機で一番電気使ってるじゃないですか!
ただでさえ迫力満点の風車服だが、さらに追加装備がある様子。怪しげな筒を背負い、搭載された赤いブロワーの電源を入れると……
頭上から紙吹雪が飛び出した。もうなんでもありである。
その赤いのは空気を出しているんですか?
これはブロワーですね。これで紙吹雪を飛ばしています
その風流で風車も回せるとよかったですね
あっ……!
こうして、個性豊かすぎる5作品が紹介された。
きゅんくんのお気に入りは、「すごく自然」という理由から「ドキドキアホ毛マシン」。荒んだ気分の時には「コアラのマーチの服を消すマシン」を使いたいとの評価もいただいた。