ものコミュ探訪
センサ好きの飲み会から生まれたコミュニティ「TMCN」
各地で活動しているものづくりコミュニティを紹介していく連載「ものコミュ探訪」がスタート。各コミュニティでは特色をもったイベントや活動をしており、その多くは興味があるものなら誰でも参加できる。Makersに興味があっても1人で何をしていいか分からないと思っている読者は、その第一歩としてここで紹介するコミュニティに参加してみてはいかがだろうか。第1回は、この2月に社団法人化を果たした「TMCN(Tokyo MotionControl Network)」を訪ねた。
お話を伺ったのはTMCNの発起人メンバーの4人。秦さん、前本さん、木村さんの3人のエンジニアは、それぞれ別の会社に所属し、センサを使った開発ではまず声がかかるいわばライバル同士。伊藤さんはセンサが大好きな非エンジニア。そんな4人がどのように出会い、コミュニティを作っていったのだろうか。
新しい技術はいろんな人と触ることで広がりができる
——コミュニティの特徴を教えてください。
前本「飲み会です。飲み会の延長」
伊藤「出会い系ですかね(笑)。ものづくりしている人を出会わせる場に徹しています。そうしていたら、ハードウェア屋とソフトウェア屋、個人技術者とメーカーの技術者が集まる場になりました」
秦「いいかげんなところが特徴的なコミュニティです(笑)。名前のモーションコントロールはきっかけで、今はセンサ&デバイスをだしています。いろいろこじつけて、スマホもセンサ、ロボットもセンサ、IOTもセンサ、要するになんでもありなコミュニティです」
木村「最初はKinectを扱うイベントにしようと思っていたのですが、第1回目からOculus RiftやLeap Motionを使った作品も参加していました」
秦「出会い系なので、いろんな人、全然違うバックグラウンドを持った人が来ていて、コミュニティとして膨張している感じがしています」
伊藤「ちょっとした勘違いで、あまり領域が重なっていない人も来るんです。ただそれで結果的にTMCNの新しいエリアができていきます。勘違いが重要です」
——発起のきっかけを教えてください。
秦「まず僕が木村さんに、センサ系つながりを作りたいと話をしました。とりあえず身近で飲み会しましょうと集まったのがこの4人でした」
前本「僕はKinect系の飲み会があると聞いて、気軽に参加したら、コミュニティを作る話だった。あれ、聞いてた話と違うなと(笑)」
秦「最初は飲み会が大きくなればいいな程度に考えていました。そしたら伊藤さんが頑張っちゃって、コクヨさんの大きい会場借りちゃって、気づいたら80人来てました。そこからずっと踊らされてます」
伊藤「そもそもなんで飲み会をやろうと思ったんですか? 言ってみれば、3人(秦、前本、木村)は競合他社ですよね?」
秦「僕が一方的に言い出しました。正直、大抵の技術は社内でほとんど検証できるんですよ。でもやっぱりそれは広がりがない。新しい技術なんで、いろんな人がそれをつついていくことで、知らないことがどんどん広がっていくと思ったんです。とりあえず身近にいる人を誘いました」
新しい人がくると楽しい。自分が広がる。
——どんな人が参加していますか。
木村「半分くらいが技術者ですかね」
秦「いろんな属性の人がいますね。フリーランス、会社員、会社を自分でやってる人とか、無職もいるし(笑)。また別の属性でいくと、技術者もいますし、プランニングやデザイナー系もいます。なんか何にも関係ないけど、楽しそうだから来てみましたみたいな人もいます。初回に司会やっていた人はモデルでしたし(笑)」
伊藤「テクノロジーの会なんですけど、別に技術者だけで成り立つ訳ではありません。センサとデバイスの特徴だと思うのですが、体験できるアウトプットが多いんです。そうすると技術の難しい話が分からなくても、その場で体験できるので、エンジニアだけの会にはなりません。その辺のハードルの低さが参加者の多様性につながっているかもしれません」
秦「新しい人が来ると楽しいです。自分が広がりますね。関係が深まっていくのも楽しいし、新しい出会いは刺激になるし」
木村「それぞれ得意分野がありますからね。何か困ったときに相談できる。それがビジネスにも広がったりします」
秦「全員がそういう感覚だから、かなり前のめりで、新しい人はウェルカムです。参加の仕方もいろいろあっていいと思います。なんかやりたいって言ったらやってくださいってなります(笑)」
——入会方法を教えてください。
伊藤「何かしたら入会というようなことは特にないです。Facebookページにいいねを押してもらえれば、うるさいくらいにイベント情報が来ます。とりあえずいいねを押してください」
秦「まずは1回イベントに来てもらって、このゆるい感じを味わってもらいたいです。雰囲気に共感してくれれば、スキルや立場は関係ありません。ただの飲み会ですし。学生にも来てほしいです」
——今後の展開を教えてください。
伊藤「2月に社団法人として登記をしました。その中で会員登録制度は作りましたが、会員でないとイベントに参加できないということはありません。もし気に入ってもらって、積極的に関わってみたいという人に会員になってもらえればと思います」
秦「社団法人化した一番の理由はNDA(秘密保持契約)の問題です。まだ世に出せない情報を扱うことも出てきたのですが、NDAを各人それぞれ結ぶのが大変なんです。TMCNを法人化して、組織としてNDAを結べるようになりました」
前本「この活動はめちゃめちゃ面白いので、一緒に動く学生さんもこれから巻き込んでいきたいです。そういう方たちにバイト代も払える体制になっていけばいいと思っています」
伊藤「せっかく面白い話がいっぱいあるので、若い人を巻き込んでいけたらいいですね」
今回の探訪先
名称 | TMCN(Tokyo MotionControl Network) |
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主な活動 |
東京都内を中心にセンサ&デバイスを扱ったイベントを定期的に主催する。 |
ウェブサイト | https://www.facebook.com/TokyoMotioncontrolNetwork |
会費など |
(個人会員)年会費3000円 |
設立年月 | 2013年8月(社団法人設立は2015年2月) |
※数字は2015年3月末時点