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「作ってみた」からはじめる大学

電子工作からはじめよう! 大学が取り組む理系ガールの今

「かわいい」を電子工作するワークショップ

芝浦工業大学が今年から始めた「Fab Girl Project」は、理系学部に在籍する女子学生対象の「かわいい」をテーマにした電子工作ワークショップ。
芝浦工業大情報工学科准教授の菅谷みどり氏が中心となってプロジェクトを立ち上げ、サポートスタッフとして同大学院の女子生徒も積極的に運営に関わり開催が実現した。

夏休み期間中の3日間を使い集中的に電子工作に取り組むプログラムで、1日目に「かわいい」とは何かについて参加者同士でディスカッションした後に制作物のアイデアを膨らませ、2日目から実際にArduinoと複数のセンサやLEDを使った電子工作に取り組み、3日目に作品を発表する。

参加した学生の中には、普段の授業では男性が多いので自分が本当に作りたいものを作ったり、研究したいことができないことが多いので、自分が作りたいものが作れる良い機会だと感じている人もいた。

友達や先輩に誘われて参加した学生も、男子学生ゼロでテーマは「かわいい」という普段とは全く違う環境に刺激を受けながら、自分たちが思う「かわいい」と日常を結びつけアイデアを形にしていった。頭をなでると光センサが反応して頬が光ったり、手を握ると温度センサによって音が鳴るぬいぐるみや、プレゼント用に包装された箱を開けると光センサによって検知し、メロディと連動してろうそくに見立てたLEDが点灯するバースデーケーキなどが女子学生らしい視点と自由な発想の作品が制作された。 

LEDをただ光らせるだけではロウソクの火を表現できないので、プログラム上でランダムにLEDが光るようにするなど、短い期間ながら工夫をこらしていた。 LEDをただ光らせるだけではロウソクの火を表現できないので、プログラム上でランダムにLEDが光るようにするなど、短い期間ながら工夫をこらしていた。

ワークショップ終了後には今回制作した作品を改良したいという感想や、早くも第2回の参加を希望する声もあり、充実した3日間となったようだった。

今回のワークショップを企画した芝浦工業大情報工学科准教授の菅谷みどり氏によると、ArduinoやRaspberry Piは学生にはあまり浸透していないそうだが、物理や電気の知識は既にあるので、プログラミングの基礎さえ押さえれば簡単に電子工作ができるので、アイデアを形にしやすいという。
「プログラミングを教えたあとに『好きなものを作ってみなさい』というと、不思議なことにほとんどの男性はゲームを作るのに対して、女性は日常生活に繋がるような実用性を感じさせるものを作り、内容も被らない。」(菅谷氏)
このような女性らしい目線と自分でアイデアを形にしたことがあるという経験が、実際の仕事として製品開発の現場で生きてくる場面が必ずある。そのために好きな物を作れる場を与えたいと思い今回のワークショップを企画したそうだ。 

今回の両校のワークショップの背景には学生の確保や情報工学への興味付けだけでなく、女性エンジニアを取り巻く環境に対する思いが大きい。

「諸外国に比べると日本における女性の情報処理系エンジニアの人気が低い事に危機感を感じています。アメリカではYahoo!のCEOに女性エンジニアが就くなど数多くのサクセスストーリーがあり、中国やインドでも非常に安定した魅力的な職業として女性に認識されています。日本でも、早くからプログラミングについての成功体験をしてもらい、自分でもコンピュータによるものづくりができるという自信をもって情報通信分野の職業を志す女性を増やしていくことが重要だと思います」(津田塾大学学芸学部情報科学科教授 来住伸子氏)

「女性がエンジニアとして企業で活躍しやすい環境を広げていくには、自分にしか提供できない価値や、実現するための力を持たなくてはいけないし、それをきちんと評価する環境が重要です。そのためには場数を踏むことが必要なのですが、実際にはそういった機会を逸してしまう女性が多く、優秀でありながらちょっと引いてしまうような方は、機会を得られずに実力も上がりにくくなってしまう現状があります。
在学中にさまざまな経験を積み、自信をつけて社会に送り出すことが女性エンジニアの企業での積極性につながると思います」(菅谷氏)

ArduinoやRaspberry Piの普及や、ビジュアル言語も含めた開発環境やオンラインコミュニティの充実によって、電子工作は自由な発想を形にしやすく、コスト面も含めてハードルが低いものになりつつある。
1つの表現手段として電子工作を選び、自由な発想で「作ってみた」先に、ものづくりを仕事として選ぶ女性が増えれば、社会が求める多様性に柔軟にフィットするものづくりができる場と機会も増えていくのかもしれない。

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