新しいものづくりがわかるメディア

RSS


年末特別企画座談会

みんなが集まるものづくりのハブを目指して——“ファブの中の人”座談会

——2015年の抱負についても伺いたいのですが。

梅澤「運営側からの発信を増やしたいですね。FabLabの利用方法とか、FabLabを使うとこういうプロジェクトができるんだよっていう活用事例サンプルをいくつか世の中に出したいなと思っています。運営ばかりしていると、利用者の人たちに触発されて僕らもなにかしたいなって思いますしね。僕は元々設計メカ屋で大きなショベルカーとか作ってて、他のメンバーはも美大の助手からの転職だったりして人間が二人いて、彼らも手を動かしていないと多分死んじゃう(笑)

あとはせっかく国内にFabLabが12拠点あるので、連携した動きもしたいです。TOKYO FABBERSのような外部の施設間連携も増やしていきたいと思っています」

木下「IIDはここを世田谷区の産業拠点にしたいというコンセプトがあって、一般の人もクリエイターもここを使って試作ができて、館内のギャラリーに展示もできるしワークショップなど、講師からフィードバックをもらえるイベント開催や入居している映像制作の方にプロモーションビデオを撮ってもらうとかそういうストーリーを増やしていきたいという目標があります。その中でPTAの稼働率をもっと上げていきたい。まだ余裕がある状況なので、早く『機械もスペースも全然足りないよ』っていうレベルに持っていきたいですね。

あと大事なのは世田谷区産業政策部の工業・雇用促進課と一緒に進めている取り組みがあります。世田谷区は住宅地や農地が大半ですが製造業の事業者さんもいらっしゃって、そういうところの2代目、3代目の若い方の中には3D業界に興味がある方もいらっしゃると聞いています。でも『いきなりうちで買ってっという話じゃないし、メーカーの営業に会うと買わされるだけだし』ということで、PTAのようなところでしがらみなく触ってみたり質問したりしているうちに、実際に作ってやってみようかなという話も少しずつ出てきています。個人から企業までいろんな方が集まるものづくりのハブ的な場になればいいなと思います」

毛利 「3Dプリンター屋を立ち上げた当初は情報発信基地としてお店をとらえていたんですけど、振り返ってみると面白くてとがった人たちが集まる情報吸収基地みたいな形になったので、2015年はもっと発信するほうに力をかけたいなと思います。普通の人が主役になれる場ということを発信したいですし、そういう場を引き続き提供していけたらと思います。

皆さんと運営体質が違うのは、僕らはそれぞれ本業を持っていて3Dプリンター屋は全て持ち寄りでやっているので、利益を出すことを目的とせずに(必要もなくて)それが3Dプリンタにとって必要かどうか? 面白いかどうかって判断だけで運営できるところです」

中村 「例えばクラウドファンディングを運営している方に来てもらって、そこで面白い人や製品をスカウトするとか、僕らも面白いものを見つける目利きには自信があるので、そうやって見つけた人やアイデアを育てていきたいですね」

 

いずれのファブ施設も、単に機器が使える作業場ではなく、ものづくりを通じて人が集まり交流することを理想に挙げている点や、そのための苦労や努力を日々積み重ねている様子の一端が座談会から伝わったのではないでしょうか。
fabcrossでは2015年も日本全国にあるファブ施設の取材を通じて、開かれたものづくりの場で何が起きているかをお伝えしていきます。

PTA室内で記念撮影

取材・撮影場所:IID世田谷ものづくり学校

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る