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取材レポート:ドローンのいま

農業や土木/建設など商業利用で立ち上がる海外のドローンスタートアップと日本の取り組み

首相官邸屋上への落下事件以来、物議を醸しているドローンだが、安全に運用すればいろいろと世の中の役に立つだろうということは誰もが感じている。現在、日本だけでなく世界的な傾向として、ドローンの個人利用について規制が厳しくなっている一方、商業利用についてはいろいろな可能性が見えてきた。今回はドローンの商業利用をビジネスとして立ち上げた海外のスタートアップの概況と、それを追いかける日本の現状についてみてみよう。

市場規模が拡大するドローンの商業利用と、農業分野でのドローン活用

今後のドローンの市場規模については、現在どの調査会社も堅調な成長を予測している。たとえば、アメリカの調査会社Markets and Marketsでは、世界の商業利用ドローン市場の規模について年率32.2%で伸び、2020年には55億9000万ドルになると見込んでいる。また、同じくアメリカのFROST & SULLIVANが行った調査では、アメリカを含む各国での法規制の整備や取り組みが進展することを前提とすれば、ドローンの市場規模は2020年には110億ドルになり、さらに今後20年は継続して成長すると予測している。

ドローン産業への投資は、すでにハードウェアよりもソフトウェアやインフラサービスの方が上回っており、さまざまな分野でのビジネスが立ち上がってきた。日本でドローンを活用する分野というと、まず空撮やデリバリーなどの分野を思い浮かべるが、前述のFROST & SULLIVANが2015年に発表した2015年のドローンの活用分野予測を見てみると、空撮が全体の27%を占め最も多くなっているものの、次に多いのが23%を占める精密農業と言われる分野である。 

精密農業と言われても、日本ではまだなじみが薄い。アメリカでは以前から人工衛星やセスナ機で圃場(作物を栽培する田畑)の状態を撮影し、その画像を解析することで農作物の育成状況や病害虫の発生、地質/水質の状態、地面の水分量などを確認する精密農業が行われている。日本でも同じような方法で実証実験が行われたが、圃場の広さの違いからコストが合わないことが分かり普及していない。

この精密農業において、人工衛星やセスナ機の代わりにドローンを活用するクラウドサービスが、すでに海外でいくつか立ち上がっている。ドローンで空中から撮影した写真や近赤外線センサ、マルチスペクトルのサーマルセンサなどのデータを時系列に比較、確認することで、病害虫の発生や肥料の過不足を調査するのだ。アメリカのドローンスタートアップPrecisionHawkが提供するサービスでは、ドローンが自ら位置情報や風の当たり具合などをリアルタイムで計算しながら圃場の上空を飛行する。その際、ドローンに搭載された高感度カメラやさまざまなセンサーによって集めた圃場の情報をサーバに送信し、そのデータを解析したレポートが農家に送られる。 

PrecisionHawkは、月面で動くロボットの人工知能を開発し宇宙ロボティクスの博士号を取得したErnest Earonによって設立された。 PrecisionHawkは、月面で動くロボットの人工知能を開発し宇宙ロボティクスの博士号を取得したErnest Earonによって設立された。

また、日本と同じ農業大国であるフランスのドローンスタートアップAIRINOVは、当初は空撮だけを専業にしていた。しかし、マーケットの成長によって事業を拡大し、現在はドローンが収集したデータに基づいて肥料や農薬の散布データを農家に送り、農作業の生産性を向上させる事業を行っており、2015年度は前年比で4倍まで成長すると見込まれている。

ドローンというとマルチコプターの形を思い浮かべるが、AIRINOVをはじめとする海外の精密農業で使われているドローンの多くは固定翼形である。 ドローンというとマルチコプターの形を思い浮かべるが、AIRINOVをはじめとする海外の精密農業で使われているドローンの多くは固定翼形である。

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