Fabミニ四駆カップ 2015 Spring参加レポート
3DプリントにArduino、何でもアリなFabミニ四駆カップに参加してきた
東京・渋谷のファブ施設FabCafe Tokyoが主催する「Fabミニ四駆カップ」は、デジタル工作機やArduino、センサなどデジタル技術を駆使してミニ四駆を改造し、その性能とスピードを競い合う、新しいスタイルのミニ四駆レースだ。
fabcross編集部も4月29日に開かれた「Fabミニ四駆カップ2015 Spring」にエントリー。記録よりも記憶に残る走りを目指した激闘の記録をレポートする。
本職の人間も熱くさせるFabミニ四駆カップとは
Fabミニ四駆カップは一般的なミニ四駆レースとは異なり、3Dプリンタやレーザーカッターを使ったパーツが使用でき、Arduinoのようなマイコンやセンサを使った改造が可能だ。2014年9月に開催された第1回「Fabミニ四駆カップ2014」では自動車業界の強者が参加するなど、大人たちが余りある技術とアイデア、子どもの頃には無かった予算を駆使して、その腕を競い合う。詳細なルールは公式サイトを参照して欲しい。
大会は初級者向けのカルFabコースと上級者向けのマジFabコースがあり、カルFabコースの優勝チームには3Dプリンタ1台、マジFabコースの優勝チームにはMaker Faire Taipei 2015で開催されるFAB MINI 4WD CUPへの出場権と旅費が贈呈されるという、趣味の工作レースを超えた豪華な賞品が用意されている。そう聞いたら出るしかない。迷うことなくマジFabコースにエントリーすることにした。
全力で回転するミニ四駆ができるまで
子どもの頃には実現できなかった「最強のミニ四駆」を実現し、台湾ツアーをゲットすべく特別チームを結成した。編集部だけでは心もとないので、fabcrossの運営会社であるメイテックに所属し、ミニ四駆が趣味という本職のエンジニア河野さんに協力を仰いだ。
fabcrossが考えたマシンは、周回するコースの中でマシン自体も回転することで見るものの度肝を抜きつつ、鮮やかに勝利する回転寿司マシン「赤身1号」だ。
まずはボディのモデリングに着手。
今回は寿司もスキャンでやっつけるのではなく、一からデータ作成した。
千里の道も一歩から1貫の寿司も1粒の米からということで、米粒をモデリングし、
シャリ状にして、
ネタを載せて皿に載せた。
データができたら次は3Dプリンタで出力だ。XYZプリンティングのパーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチ1.0A」を使い、鮮やかな赤いフィラメントで赤身の寿司を出力した。
見事な再現度だ。表面処理を済ませて塗装すれば立派な寿司だ。
寿司を載せる皿とボディ部分もモデリングしてプリントしたのがこちら。
こちらも問題なくプリント完了。プリントが終わったら改造と組み立てだ。
パーツを購入した後、秋葉原にあるファブ施設「ナノラボ」さんにお邪魔して、激しく回転する機能と表面加工と塗装に取り掛かる。
組み立てながら、なんとなくミニ四駆の思い出話になる。
河野「小学生の頃、ちょうどミニ四駆ブームだったんですけど、親戚のおじさんにミニ四駆買ってもらって、さっそく組み立てて走らせようとしたら、地面の上で全く走らなくて挫折感に打ちひしがれましたね……。あとで知ったんですけど、そのミニ四駆はタミヤのじゃなかったみたいで」
あー、ありますよね。僕もビックリマンチョコのシールを友達と交換したらロッテ製じゃなくてロッチ製だったとか、親が気を利かせてこっそり買ってくれたガンプラがバンダイ製じゃなくて謎のメーカーだったとか、パチモノに泣かされながら育ったようなもんですよ、という無駄話をしつつ作業を進める。
皿が回転する部分に苦戦したものの、なんとか完成。輪ゴムでこっそりシャーシとボディを留めるガムテープテクノロジーぶりは見なかったことにしてほしい。
回転もすこぶる調子がいい。