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Dr.片山の100均ロボット研究室

走るエリーちゃん、茶運び人形に転職する

こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、夜な夜な低予算ロボットについて研究をしています。 今回は、代表的なからくり人形の1つ、茶運び人形を作りました。茶運び人形は、100均ロボットを作り始めた当初からの大きなテーマでした。

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この動画は2020年7月のもの。当時は技術的に未熟なばかりか、首振り、足踏みなど茶運び人形のギミックを全て搭載しようとしたため、本体が巨大かつ複雑になってしまい、まともに動きませんでした。

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その後再チャレンジしたときに、お盆の部分はできたのですが、全体の完成には至りませんでした。

今回は機能を絞って機構も一新し、茶運び人形の顔ともいうべき人形部分を着せ替え人形で代用しました。エリーちゃんは「走るエリーちゃん」以来2度目の登場となります。

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茶運び人形エリーちゃんの製作過程

材料は以下の通りです。

  • 着せ替え人形(着せ替えフレンド エリーちゃん) 1体
  • 毛玉取り器(中の刃は取り外す) 1個
  • 竹の箸 15本
  • 竹串 6本
  • 木製スティック 1本
  • ストロー 2本
  • ミニストロー 3本
  • 厚紙 適量
  • タイルマット 1枚
  • 輪ゴム 3本
  • 消しゴム 1個 
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ざっくりとした設計図はこちらです。

さっそく作っていきます。

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まずはコンパスカッターで厚紙を円形に切り出していきます。

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タイルマットも円形に切り出します。そのうち1個はドーナツ型と円形になるように切り出します。

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小さい円形のタイルマットをドーナツ型のタイルマットに、段差ができるようにはめ込み、グルーガンで接着してクラッチ板を作ります。

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円形のタイルマットと厚紙でプーリーを作ります。1個のプーリーは自由に回るように中心にストローを入れておきます。同様に小さい車輪3個にもストローを入れます。

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上段左から大きな車輪2個、ストローの入った大きなプーリー、クラッチ板。下段左から中くらいのプーリー、ストローの入った小さい車輪3個、小さいプーリーとなります。

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竹の箸、ストロー、ミニストローで毛玉取り器を載せるやぐらを作ります。

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輪ゴムを掛けた大きなプーリーと、クラッチ板に竹の箸を通したものをやぐらに取り付けます。

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中くらいのプーリーを竹串でやぐらに取り付けます。

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小さいプーリーを取り付けていきます。

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クラッチの付いた竹の箸と中くらいのプーリーに輪ゴムを掛け、余分な部分を切ります。

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中くらいのプーリーが付いた竹の箸と小さいプーリーにも輪ゴムを掛けます。

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クラッチをつなぐスイッチとなる木製スティックを取り付けます。

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直進用の小さなタイヤを取り付けます。

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左折用の小さなタイヤを2個取り付けます。

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直進用のタイヤを上下させるためのクランクを取り付けます。

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エリーちゃんの固定具を取り付けます。

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本体ができました!

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毛玉取り器を載せ、エリーちゃんを本体に固定すれば、茶運び人形エリーちゃんの完成です。

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中に消しゴムを入れて重さを調節した厚紙製の湯飲みをお盆に載せると前進します。
湯飲みを取ると停止します。再度湯飲みをお盆に載せると動き出し、左に旋回して帰ってきます。

大英博物館での展示を夢見て

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この茶運び人形は、毛玉取りのモーターを利用して動いています。クラッチ板の付いた竹の箸が、モーターにつながって回転している大きなプーリーに湯飲みの重みで押しつけられると、タイヤやてこクランク機構につながるプーリーを回転させる仕組みです。

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てこクランク機構によって直進用タイヤが上下し、左折用タイヤと交互に接地することで直進と左折が切り替わります。

進行方向を変える場合、ハンドルを切るようにタイヤの向きを変えるのが一般的だと思いますが、直進と左折だけというように進行方向の種類が少ない場合は、それぞれの方向に固定したタイヤを切り替える方式のほうが簡単です。

なお、着せ替えフレンドエリーちゃんは無加工で、取り外せば単体で遊ぶことも可能です。

お盆に湯飲みを載せると動き出す機構にクラッチを使うことを思いつくまでが長く、2年以上の歳月を費やしました。

今回、人形部分にエリーちゃんを採用したことにより、機内販売をしているCAさんのようになりました。茶運び人形というよりは、現代版茶運び人形とでも言いましょうか。

今後はさらに技術を磨いて、今回実現できなかった首振りや足踏みなど、細かい動きの再現を目指していきたいと思います。

ちなみに、ホンモノの茶運び人形は大英博物館にも展示されているそうです。もしかしたら、私の人形も博物館に展示される日が来るかもしれません。その日を夢見て……。

第19回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!


企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀

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