Dr.片山の100均ロボット研究室
Dr.片山の100均ロボット研究室——【夏の自由工作】指パッチンでロボットを操作できるリモコンを作った
こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、低予算でロボット製作を行っています。
これまで、100円ショップの毛玉取り器を動力としたロボットを多数製作してきました。ごく一部を除き、それらのほとんどが毛玉取り器本体のスイッチをオンオフすることで、ロボット自体の始動と停止を制御していました。
しかし、これでは常にロボットのそばにいなければ操作できません。ということで、これまで作った毛玉取りロボットを有線リモコン化してみました。
リモコンはESSと命名
まずは、以前作った毛玉取りロボットをリモコン化してみました。毛玉取りロボットの製作手順はこちらを参照してください。
このリモコンは、2本の指にはめたアルミホイルのリングを付けたり離したりすることで動作します。この動作が指パッチンに似ていることから、Electro Snap System(ESS)と命名しました。
このESS、操作中は常に指を付けたり離したりするため、2005年に亡くなったポール牧さんの姿が脳裏に頻繁に浮かんできます。心の中で彼のことを「師匠」と呼んでいます。パッチンパッチンという指を鳴らす音まで聞こえてくるような気がします。
左右に曲がる毛玉取りロボット
とりあえず、ESSを使用することで毛玉取りロボットのリモコン化には成功しました。しかし、これだけではおもしろくないということで、こんなものも作ってみました。
そう、ESSを2つ用いて2台の毛玉取り器を制御することで、左右にターンできる毛玉取りロボットを製作しました。これは革命です(大げさ)。
なんか子犬を散歩させているような感じになりますね。愛着が湧いてきます。
自分で操作している分には、「楽しい、かわいい」という感情しか起こらないのですが、第三者視点で見てみると、ちょっと……。有線リモコンなので、常にロボットに付いて歩く必要があるので、ほんとうに犬の散歩みたいですね。
このロボット、2個の毛玉取り器にそれぞれESSを取り付けてそれぞれを作動させられるようになっています。右側のロボットをオン、左側のロボットをオフにすれば左に曲がりますし、右側をオフ、左側をオンにすれば右に曲がるというわけです。
ただし、片方の脚を完全に停止させるとパワーが足りずに止まってしまうので、操作は意外と難しいと感じました。
街中でこのロボットを歩かせていたら、「あの人、ロボット散歩させてる!」と思われそうです。望むところだ!
左右に曲がる毛玉取り器ロボットの製作手順
それでは、製作手順を紹介します。まずは、有線リモコン毛玉取り器ロボットから。
材料は以下になります。
- 毛玉取り 1個
- 毛玉取りロボット(完成品) 1個
- 単3形乾電池 2本
- 導線 2本
- アルミホイル 適量
手順は以下になります。
有線リモコン毛玉取りの概念図です。誰がなんと言おうと概念図です。
こちらは回路図です。誰がなんと言おうと回路図です。
単3形乾電池2本と導線2本を用意して、1本の導線は電池のプラス極に、もう1本は別の電池のマイナス極にセロハンテープで貼り付けます。
電池2本を、導線を貼ったほうを下にして毛玉取り器に取り付けます(下部から2本の導線が出ている状態)。セロハンテープで絶縁されているため、スイッチを入れても2本の導線をつながない限り毛玉取り器は動きません。
アルミホイルで指輪を作り導線を留めます。
有線リモコン化した毛玉取り器の完成です。
以前に作った4脚歩行ロボに毛玉取り器を取り付け、親指と人差し指に着けたアルミホイルを接触させるとロボットが歩き、離すと止まります。これがESSです。
お次は次世代毛玉取り器ロボットを作っていきます。材料はこちら。
- 竹箸
- 竹串
- 木製スティック
- ストロー
- ミニストロー
- 厚紙
- タイルマット
- 輪ゴム
- 画鋲
- 足の長い画鋲
手順は以下になります。
設計図です。
竹箸や木製スティックをグルーガンで接着して毛玉取り器を載せる胴体を作ります。
厚紙、タイルマットをコンパスカッターで円形に切り抜き、接着して作ったプーリーに輪ゴムを掛けて胴体に取り付けます。
チェビシェフリンク機構などのリンク機構を作るために、木製スティックを適当な長さで切り、ピンバイスで穴を開けます。
竹箸で脚を作ります。
木製スティックと画鋲でリンク機構を作り、竹箸で作った脚と組み合わせて胴体に取り付けます。
ロボット本体の完成。
ここに2台のリモコン化した毛玉取り器を載せて完成です。
ついでといってはなんですが、ESSを操作しながら撮影ができる首掛けスマホホルダーも作りました。モデルは私の次男です。
ESSを作る際はケーブルに注意
今回ESSを使った左右に曲がれる毛玉取り器ロボットを作ってみたのですが、片手で正転/逆転スイッチを作ることもできそうです。
ただし、ここまでやると手で操作することにこだわる必要がなくなりますね。
ところで、材料に使った導線ですが、これは100円ショップのものではありません。
当初、100円ショップで購入したステレオヘッドホン延長コードを分解して使ってみたのですが、抵抗が大きいのか、長さを2mにするとうまく動かず、70cmくらいまで短くしないと動作しませんでした。
そこで、三瀬医院で使わなくなったケーブルを分解して使いました。詳細がわからなかったのですが、画像をChatGPTにアップして教えてもらったところ、昔のプリンターで使われていたD-sub25ピンのパラレルケーブルのようです。こちらは2mでも順調に動きました。
もしチャレンジする方がいたら、ケーブルにはご注意を。
第29回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!
企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀