頭の悪いメカ by 藤原麻里菜
モブキャラを脱するために、魔法陣デバイスを作った
私は魔法が使えると思っています。こういうのは中学生のときに一通り妄想をして、高校卒業あたりに完全に消滅する考えかと思いますが、私は23歳になった今でも、すげえ頑張れば魔法が使えると思っています。
でも、一向に魔法が使えません。物を召喚してみたいのですが、手に力を入れても魔法陣は浮き出てきません。
私は“選ばれし者”ではないのか……。この世界が能力系アニメだったら、私はモブキャラか……。
一生懸命生きているのに、そんなのあんまりだ!
なので、いっそのこと、召喚した気分になれるデバイスを作ろうと思いました。
レーザーカッターとUVプリンターを使って魔法陣を作ろう
まず一番重要な「魔法陣」部分から作ろうと思います。レーザーカッターとUVプリンターを使って作りたいと思ったので、DMM.make AKIBAという高い機材がめちゃくちゃある施設を使用しました。
レーザーカッターを使って、Illustratorで制作したデータを基にアクリル板を切り抜きます。
レーザーカッターを使うのは2回目なので、「お手のもんだぜ」という気持ちで挑んだのですが、スイッチがどこにあるのか分からなくて、涙が出ました。
スイッチの場所をスタッフさんに教えてもらい、無事に切り抜くことができました。
そして、UVプリンターで魔法陣のイラストを印刷していきます。こちらもIllustratorのデータから簡単にプリントできるのです。なんて便利な世の中なんだ。ちなみに、UVプリンターのスイッチは分かりやすい位置にありました。
あっという間に魔法陣が完成。
サーボモーターとArduinoを使って召喚の仕組みを作ろう
せっかくの魔法陣。何かを召喚したいですよね。召喚を科学的に起こそうと調べてみたのですが、分子レベルの話になってきたので頓挫しました。せめて、召喚している気持ちになれる仕組みを作りたいと思います。
使うのは、サーボモーターとArduino。Arduinoでサーボモーターの角度を制御して、先ほどレーザーカッターで切り出したパーツを組み合わせて、直線運動ができるようにしました。これを完成させたときは、自分は天才だなと思いました。
光ったら“召喚感”が出るなと思い、LEDテープを付けました。召喚感って何なんだろう。
LEDテープとサーボモーターをArduinoに勘でつなげ、スケッチを書き込んだら完成です。
完成!
スケッチを勘で書いたため、何回もエラーが出てしまいましたが、そのエラーを勘で対処しつつ「なんでも召喚できるデバイス」が完成しました。早速使ってみます。
「魔王サタンよ、我に力を……」
ギギギギ……。
すぐにどっか行ってしまうリップクリームを召喚してみました。魔法陣の上にあると、なんでも厳かに感じられます。
いろいろな物を召喚しよう
手に載せると、さらにそれっぽさが。
「汝、魔界へ堕ちろ……」
リップクリームを魔界に送ることもできます。すごいですね。
「————我は魔王の僕。魔界より来たりて力を————」
ギギギギ……。
15円です。
お会計の時に、これで支払いをしたらかっこいいかもしれませんし、失笑されるかもしれません。
「汝、闇を旅する者————」
ギギギ……。
魔界に住む者を召喚してみたかったのですが、それっぽい物が無かったので、知人に頂いたゾンビのフィギュアを乗せました。こんなところで役に立つとは……。召喚の際に、カッコいい呪文を唱えたいのですが、「汝」「闇」「魔」以外の言葉が出てきません。私って意外に呪文のボキャブラリーが少ないんだなという発見になりました。
「魔王と契約せし“印”闇から這い上がれ————」
「契約で必要だから持って来てね!」と言われたときに限って忘れてしまう印鑑も召喚してみました。
おわりに
これで、魔界から魔王が来て、日本に住んでいる“能力者”たちと戦いが始まっても、なんとなく応戦することができます。皆さんも魔法陣を作って、モブキャラから脱してみませんか?