かんたん3Dモデリング~Fusion 360はじめの一歩
【第11回】ソリッドとサーフェス、CADモデリングの重要な概念を伝授します
「誰かの3Dデータじゃなく、自分で3Dデータからものづくりしたい! でも3D CADは難しいというし……」と、ためらっていた方にぴったりの3D CAD入門。Autodeskの無料で使える高機能3D CAD「Fusion 360」を操り、3Dモデリングの“はじめの一歩”を踏み出そう。
執筆は、まったくの3Dモデリング初心者にFusion 360を使った3Dデータ作りセミナーを各地で開催し、「Fusion 360 操作ガイド ベーシック編」と「Fusion 360 操作ガイド アドバンス編」「Fusion 360 操作ガイド スーパーアドバンス編」の著者でもある、3Dワークス 最高技術責任者の三谷大暁さんだ。
こんにちは、三谷です。
第11回は、3D CADを使用する上で知っておきたい、「ソリッド」と「サーフェス」をご紹介します。
今回の内容はFusion 360に限らず、多くの3D CADに共通する考え方です。世の中にある「もの」は、全て厚みを持っています。どんなに薄い紙でも、0.01mmといった厚みがありますね。実は3D CADでは厚み0のものが存在できるようになっており、それを一般的に「サーフェス」と呼んでいます。複数のサーフェスのエッジ同士が縫い合わされ、すべて閉じられると、初めて中身が詰まった「ソリッド」となります。
簡単な例でご紹介しましょう。まずは動画をご覧ください。
はじめに切り替えているのが、作業スペースです。Fusion 360では、「モデル作業スペース」でソリッド形状が、「パッチ作業スペース」でサーフェス形状が扱えます。新規デザインを作成する際は「モデル作業スペース」が初期値になっているため、みなさんはこれまで特に意識しなくても「ソリッド」形状を作成できていました。
パッチ作業スペースでは、同じ[押し出し]コマンドでも、厚みが0のサーフェス形状ができます。サーフェスには裏表があり、黄色く見えている面が裏側です。サーフェスを全て作成した後に、[ステッチ]コマンドで縫い合わせる作業をすると、ソリッド形状になります。断面を確認すると、同じ見た目でもソリッドとサーフェスでは中身の詰まり方が違うのがよく分かりますね。
最初の動画でご紹介した形状は、ソリッドモデリングで簡単に作成できてしまいますが、サーフェスは、主に曲面を作成する際に使用します。一般的な3D CADには、第10回でご紹介したTスプラインモデリングはありません。そのため、次の動画のように、スケッチで断面を作成し、サーフェスを作成、余分な箇所をカットして、縫い合わせて、という手順で複雑な曲面を作っていく手法がよくとられます。
Tスプラインモデリングはぐにゃぐにゃと変形できるため、コンセプトデザインをする際には便利ですが、ある箇所の断面の曲率が数字で決まっている場合などには、きっちりと寸法を取ることができないため、向いていません。一方、サーフェスモデリングでは、ある箇所の断面をつないでいくモデリングをすることで、きちんと寸法の決まったものを作りやすく、あとでスケッチの寸法を変えるだけで形を変えることも簡単です。
また、サーフェスに厚みをつける[厚み]コマンドも便利です。パッチで作成したサーフェスも、Tスプラインで作成したサーフェスも、厚みをつけることができます。
今回はマウスのスケッチが含まれたデータを公開しますので、「Fusion 360 Archive」ファイルをダウンロードしてお試しください!
http://a360.co/2lGLPPq
ファイルのインポート方法はこちらからご確認いただけます。
http://fusion360.3dworks.co.jp/tutorial/
いかがでしたか? サーフェスを駆使すると、デザインの幅が広がりますね! いろいろな形状にチャレンジしてみてください。