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かんたん3Dモデリング~Fusion 360はじめの一歩

【最終回】サーフェスモデリングと厚み付けを使った、応用モデリング

「誰かの3Dデータじゃなく、自分で3Dデータからものづくりしたい! でも3D CADは難しいというし……」と、ためらっていた方にぴったりの3D CAD入門。Autodeskの無料で使える高機能3D CAD「Fusion 360」を操り、3Dモデリングの“はじめの一歩”を踏み出そう。

執筆は、まったくの3Dモデリング初心者にFusion 360を使った3Dデータ作りセミナーを各地で開催し、「Fusion 360 操作ガイド ベーシック編」と「Fusion 360 操作ガイド アドバンス編」「Fusion 360 操作ガイド スーパーアドバンス編」の著者でもある、3Dワークス 最高技術責任者の三谷大暁さんだ。

こんにちは、三谷です。

第12回は、「サーフェス」「厚み付け」を利用したモデリング手法をご紹介します。

第11回でご紹介した、厚み0の「サーフェス」は、複数のサーフェスのエッジ同士を縫い合わせて、中身が詰まった「ソリッド」形状を作るものでした。今回ご紹介するのは、複数のサーフェスを縫い合わせるのではなく、1枚のサーフェスをモデリングし、最後に厚みをつけるモデリング手法です。

まずは動画をご覧ください。スプーンをモデリングする過程をご紹介します。

前半はTスプラインを使用したモデリングですが、[作成]–[平面]コマンドからはじめ、常にサーフェス状態で作業を進めています。人間の目は不思議なもので、厚みがない状態で作業しているにもかかわらず、スプーンができていく様子が分かると思います。4:45からが厚みを付ける作業です。サーフェスに対して、[修正]–[厚み]コマンドで一定の厚みを付けています。

厚みを付ける際には実は注意が必要です。厚みが付いたことにより、第10回でご紹介したような、「自己交差」という状態が発生します。

自己交差が発生した場合には、[フォームを編集]コマンドを使って手修正する必要があります。厚みを付けたときに自己交差しやすいのは、特に凹形状になっている部分です。

今回のスプーンモデリングで使用した他のテクニックも併せてお伝えしておきましょう。

平面から形を整えていく際に、なるべくそれぞれの長方形の形を崩さないようにすることで、きれいな形を作ることができます。エッジとエッジの距離が近いところほど急激な曲率になり、エッジとエッジの距離が遠いほどなだらかな曲率になります。

第11回でお伝えしたように、ボックス表示とスムーズ表示を切り替えながら作業しているのがご覧いただけたかと思いますが、基本的にはボックス表示で各長方形の大きさをそろえ、いびつにならないようにすることが大切です。長方形の形や並びがいびつになるほど、フニャフニャと曲がった面になってしまったり、表面に変なシワができてしまいます。

なめらかな形状にするために、今回は角の点を[折り目解除]しています。[折り目]コマンドは、エッジやポイントを鋭角にするための機能でして、今回はポイントの折り目を解除することで滑らかな角を表現しています。

[折り目]と[折り目解除]については以下の動画で確認してください。

いかがでしたか? サーフェスでモデリングして最後に厚みをつける方法をご紹介しましたが、身の回りにあるものも同様の手順でモデリングできるものも多数見つけられると思います。

「かんたん3Dモデリング~Fusion 360はじめの一歩」と題して3Dモデリングの世界を紹介してきましたが、今回が最終回です。全12回を通して、3Dモデリングの「考え方」を中心にお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。今まで使ってきたハサミ、カッターナイフ、のり、ハンダごてなどと併せて、Fusion 360や3Dプリンターを新しい道具として加えてみてください。

Fusion 360は、みなさんの頭のなかにあるアイデアを形にするために十分な機能を備えています。その分、習得し始めはつまずくことも多いかもしれません。もっとFusion 360を学びたいという方向けのトレーニングセミナーや、書籍の出版をしていますので、ぜひご参加ください。

最後までご愛読いただきありがとうございました。

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