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ギャル電きょうこのストリート電子工作

ギャル電きょうこのストリート電子工作 「ソーシャルディスタンシング」をキープしながら自分の体温を相手に知らせる非接触温度サンセーパリピフェイスシールド

電子工作に必要なものは、全てストリートで学んだ。

常識という壁を軽々とぶち壊しながら、電子工作界に新しい道を切り開き続けるギャル2人組の電子工作ユニット「ギャル電」のきょうこさんに、ストリート電子工作の神髄を見せつけてもらう「スト工」。3回目は、自分の体調を相手に通知しつつもクラブやフェスなどで盛り上がれる、ポストコロナ時代のフェイスシールドを作っていただきました。

自分の体温を相手に知らせ、その上盛れるフェイスシールド

作品名は「非接触温度センサーパリピフェイスシールド」。なぜこれを作ろうと思ったのか。きょうこさんはポストコロナ時代をすでに見据えているとのこと。

「今、フェスとかクラブとか、人が集まって楽しむのめっちゃ難しいよね。でも、もう少し状況が落ち着いたら野外でマスクとフェイスシールドを着けて、周囲の人とソーシャルディスタンシングした状態でパーティができるようになるかもしれないじゃん。そんなときのために、ニューノーマル時代のフェイスシールド盛りコーデを考えておく必要があるわけ」

まあ、今はまだ難しいかもしれませんが、そのうち屋外のフェスとかはできるようになってるかもしれませんね。そのとき、フェイスシールドがマストアイテムになっていないとも限りません。

「でしょ? でもさ、フェイスシールドってなんか盛れてないじゃん。だからフェイスシールドがフェスのマストアイテムになったときのことを考えて、パーティファッションにコーデしやすいものが必要だと思ったわけ。それをストリート電子工作で作っちゃおうかなって」

なるほど。顔が隠れがちになるフェイスシールドですけど、それを盛り盛りにすればフェスでも上がるってことですね。

体温によってLEDの色が変化する! 自分の顔も明るくなる!

で、こちらが完成形。光ってますね。

「やっぱフェスで着けるフェイスシールドだから、気分が上がるやつじゃないとね。でもこれ、ただ光ってるだけじゃないよ。自分の体温を非接触型センサーで計測してその温度を表示して、その上LEDで状態を知らせてくれるっていう、実用的な機能も付いてる」

おおお、フェイスシールドによる感染防止だけじゃなくて、自分の体温状態を相手に知らせることができるという実用も兼ね備えているんですね! これはすごい。

「あとさ、フェイスシールドって着けてると影で顔が暗くなっちゃうじゃん? だから顔もLEDで照らすようにしてある。フェス用に頑張ったアイメイクとか、ブチ上がってる表示とかもバッチリアピれて、まじ超天才アイテム」

アピールまで考えているなんて……。やっぱりストリート生まれストリート育ちは違いますね。

では実際に装着したところをご覧ください。

体温が平熱のときは青、高くなると赤で表示されます。赤いやつには近づくな! ってことですね。分かりやすい。でもフェスなんかでテンション上がってたら体温も上がっちゃうから、あんまり意味ないのかなんて思ったり……。でも、フェイスシールド+盛りコーデという面では十分な機能を持っていると思います。

では、製作風景をご覧ください。

工業用フェイスシールドに無造作にLEDやセンサーを貼っていく

まずは主な材料から。ベースとなるのは、溶接用の割とガチ目のフェイスシールド。それにピンクのヒョウ柄シールを貼ってデコレーションしています。

「元はオレンジだったんだけど、それだといかにも工業って感じだったから、ギャルならピンクのヒョウ柄だろうって、クルマのラッピングシートを貼った。あと、マスクカバーを買ったらかっこいい『KEEP DISTANCE』っていうシールが付いてきたからそれも貼ってる」

今回のポイントとなるのが、体温を測る赤外線温度センサーモジュール「M906-4P」。これでフェイスシールドを被っている人の体温を測ります。非接触型というのがポイント。

そして体温を表示するための7セグメントLED(8桁)表示器キット「K-3461D7219S」。ギャル電、とうとう7セグLED使うってよ。

これらをまずは接続していきます。

お次は、フェイスシールドにLEDテープを両面テープで無遠慮に貼っていきます。

「両面テープで付かなかったら、いつでもホットボンドがあるから。そばに置いておけばいつでも安心。お守り代わりだね」

7セグLEDは正面に貼り付け。みんなに自分の体温を知らせるのが、ポストコロナのニューノーマル。

LEDテープはフェイスシールド内側にも貼っていきます。

「フェイスシールドを着けると顔が暗くなって盛れないから、ここにもLED貼っていくよ。ささやかだけど、こういうの重要」

たしかに重要ですね。表情が暗く見えちゃったら、せっかくのフェスを楽しんでるように見えませんもんね。

「フェイスシールド着けてみて思ったんだけど、プラスチックのシールド1枚挟むだけでだいぶ自分の顔色とか分からなくなるなって。マスクとフェイスシールド両方していると、具合悪くなってもまわりの人に分からない。これなら常に体温を測ってその状態を光でお知らせしてくれるから、遠くからでもあたしの体調が分かるっていう、超オープンマインドなフェイスシールド」

話だけ聞いていると、かなり実用的です。ギャル電、大丈夫か?

見えるところは豪華に、見えないところは適当に

温度センサーは、おでこを測定できる位置に貼り付けます。

Arduino nano互換機のボードはガムテープでジャマにならないところに貼り付け。給電用のUSBポートは隠さないようにするのがポイント。

モバイルバッテリーは後頭部の部分に貼り付け。

「このフェイスシールド、工業用だからしっかりしてる。安心感があるね。これだけでも買う価値がある。ガムテープで貼り付けるだけでも成立するから」

見えるところは豪華に、見えないところは適当に。それがスト工の基本です。

「でもさ、昔ロボット作ったとき、工業系の大学出ているロボットの専門の人に、“きょうこさんの作るロボットは気持ち悪い、生理的に受け付けない”って言われたことあってまあ分かるよってなったよね」

生理的に受け付けない電子工作って、何……?

バグっててもそのまま見せる。それがスト工

あとは、7セグLEDに温度を表示させるプログラムを送り込みます。今回は自分でプログラムを書いたそうです。

「7セグLEDで数字を表示するっていうプログラムがどこ探しても見つからないから、自分で書いたのね」

おお、すごいじゃないですか! きょうこさん、やればできるギャルです。

「でもね、部品の取り付け間違って、表示が意味不明なものしか出ない。部品買い直そうと思ったんだけど、新型コロナウイルスの影響でお店やってなくて買えなかったから、意味不明な表示のままにしてある」

え? じゃあ体温表示されないんですか……。まあ、意味不明な文字列もサイバーパンク感あっていいですけど。

「ほかの工作ライターの人とかは、難しいことも難なくやった感出すじゃん? 実はみんな苦労してるんだと思うけど。あとは仕事だからちゃんとやるっていう(笑)。でも私は堂々と“失敗したよ!”って言うし、部品も買えなかったよって言う。そうすることで、みんなに部品発注のリードタイムを見る大切さを伝えていきたい」

なんかよさげなこと言ってますけど、要は締め切りギリギリに作り始めたから失敗したときのリカバリーができなかったってことですよね……。まあ、fabcrossって失敗したら「失敗しました!」っていう記事を出してくメディアなんで、それでもOKです!

「やっぱりね、工作始めた頃って自信なくしがちになるんだよね。みんな成功例しか載せないじゃん? だから、みんな失敗なんかしてなくて、こんなことも分からない自分はダメだ、みたいに思っちゃうんだよ。そうすると、自分には向いてないって気持ちになる。でも、実際に話を聞いてみるとみんな結構失敗してるんだよね。そういうことって、周りにそういう人がいないと分からないから。わかりみって大事じゃん(笑)」

そうそう。スト工は電子工作のハードルを低くしていくというテーマがありますからね。きょうこさんの工作を見て、みなさんが「こんなんでいいんだ! 僕でもできそう」って思ってくれたらいいですね。

とりあえずこれでいったん完成。表示バグってますけど。これは温度サンセーが何も計測していない状態なので、LEDは青になっています。

熱々の缶コーヒーをセンサーに近づけてみました。するとLEDが赤に! 表示はバグってますがセンサー自体はちゃんと機能していることが分かります。

とにかく1回作ってみるのがマジ大事

後日、きょうこさんから連絡がありました。

「表示バグってるままじゃなんかあれだから、部品買ってきてちゃんと表示できるようにしたから。まじでチップ抵抗とかコンデンサを机の上で見失ったり、超細かいはんだ付けしたりしたあげく、7セグメント部分を反対に取り付けて完全にやる気なくしたけど、寝て起きてポジティブになったから」

おお、ありがとうございます。

手の甲を近づけたら30.47度って出てますけど……。

「非接触温度センサー、周囲の温度とかにも影響されちゃうから安定して正確な数値とるの超むずいんだよね。自分の体温とセンサーで計測した温度を比較したら4〜5度くらい差があってさ。正確に体温測ろうとするとかなり面倒だから、まあだいたいの温度でLEDの色が変わればOKかなって感じで。それでも楽しいし。まじ、市販の非接触型体温計って神だと思ったわ」

一応、きょうこさんが考えていたのは、37.5度未満だったら青、37.5度以上だったら赤、という感じだったようです。まあ、スト工ですから。だいたいできてればそれは完成なんですよ。

「スト工ってさ、作ってる途中に間違っちゃってもそんなに落ち込む必要ないから。最初に考えてたのと違った結果が出ても、自分がいいかなと思ったらそれでオッケーじゃね? って思った。とりま、1回作ってみるのがマジ大事っつーことで」

きょうこさんの言葉を胸に刻んで、これからの工作に取り組んでいきたいと思います。

ということで、今回のスト工はここまで。みんなも非接触温度センサーパリピフェイスシールドを作って、来たるべき夏に向けて準備しておきましょうね!

参考にしたサイト:
7セグLED
http://www.whatimade.today/programming-an-8-digit-7-segment-display-the-easy-way-using-a-max7219/
http://cheaphousetek.blogspot.com/2017/12/display-temperature-on-8-digit-7.html

温度センサー
https://edycube.blog.fc2.com/blog-entry-957.html?sp
https://learn.adafruit.com/using-melexis-mlx90614-non-contact-sensors/wiring-and-test

ギャル電 きょうこ

今のギャルは電子工作する時代! ギャルによるギャルのための電子工作を提案するユニット「ギャル電」で活動している。 最近ハマってる飲み物はトマトジュース(無塩)

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