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ギャル電きょうこのストリート電子工作

ギャル電きょうこのストリート電子工作 マスクをしてても声が激盛れ! ウェアラブルLEDボイチェンシステム

電子工作に必要なものは、すべてストリートで学んだ。

ストリート系電子工作という道なき未開のジャングルを、ホットボンド片手に切り開いていくギャル2人組電子工作ユニット「ギャル電」。電子工作の常識にとらわれない自由なアイデアとテクニックは、電子工作界に数々のインパクトを残してきました。

そのギャル電きょうこさんが、ストリート電子工作のアティチュードをたたき込んでくれるのがこの企画。毎回驚きのあまりに開いた口がふさがらないため口の中が乾きっぱなしですが、今回はどんな作品を作ってくれるのでしょうか?

アフターコロナのニューノーマルで役立つ声盛りアイテム

新型コロナウイルスの感染防止のために、マスクをするのが日常的になっています。そう、アフターコロナのニューノーマルってやつです。

マスクをしていれば、話すときや咳、くしゃみをしたときに唾液飛沫の飛散を防止でき、新型コロナウイルスの感染防止になります。もちろん、その他の病気にも効果あり。

まあ、マスクをして生活すること自体はそれほど不便ってわけでもありませんが、ときには不便に感じることも。

「マスクをするのが当たり前になって、何が困るって、話した内容が相手に伝わりづらいことなんだよね」

そう話すきょうこさん。

「マスクをしたままはっきり聞こえるようにしゃべると、超疲れるじゃん。たとえば、コンビニのレジで『レジ袋ください』って普通の声で言っても、伝わらないこと結構あるんだよね。あたし、いま顎関節症気味だから、あんまり大きな声でしゃべりたくなくて、できればテクノロジーの力でウィスパーボイスwithマスクでも暮らしやすくなるものを作ろうかなと思って。張り切って『レジ袋ください!』って言わなくてもいいようにね」

なるほど。確かに、マスクをしているとちょっと声がこもる感じになって、マスクなしのときより少し声を張ったり、はっきりしゃべったりするように意識しないといけませんね。普段あまり声が大きくない人は、それがストレスになることもあるでしょう。

それに、マスクをしていると表情が見えない分、感情が伝わりにくいというデメリットもあります。今回は、これらを解消するためのアイテムをというわけですね。

「そうそう。名づけて『ウェアラブルLEDボイチェンシステム』。ほら、テレビで匿名の人がしゃべるときに声変えるじゃん? あのボイスチェンジャーを使って自分の声のトーンを変えつつ音量をアップして、それに合わせていろいろ光らせるアイテム」

これがその「ウェアラブルLEDボイチェンシステム」。犬が光ってますね。

「マイクで拾った音声に反応して、LED犬ファーキーホルダーが光って、マトリクスLEDで音量レベルを表示。これなら、小さい声で話してても『あたししゃべってますけど』って光でアピールできるっしょ。あと、音に合わせてかわいい犬が光っていると、すげーテンション上がる」

実際に使っているところはこちら。

ぼそぼそっと「レジ袋ください」って言っても、ちゃんと聞こえますね。声のトーンはボイスチェンジャーで変えることが可能なのでお好みでどうぞ。声も盛れるし、光でもしゃべっていることをアピールできるというわけ。これはかなり実用的ですね。

では、仕組みのほうの解説にいきましょう。

作るよりも買ったほうが安い場合は買う

基本となる部分は、ピンマイクとボイスチェンジャー、そしてハンディ拡声器となっています。

「いろいろ試したんだけど、やっぱりピンマイクが一番声を拾いやすいので採用。ボイスチェンジャーを使っているのは、声をただ大きくするだけじゃなくて、ボイスチェンジャーに内蔵されている拍手とか盛り上げ音楽とかのSEを使うことで、しゃべらなくても盛り上がっていることが伝えられるから」

変わった声にするだけじゃなくて、SEとしてもボイスチェンジャーを使おうというわけですね。

基本的にはこれだけで「ささやき声でも相手に伝わる」という目的は果たせますが、スト工はそんなことじゃ満足しませんよ。

「このマイクアンプで、拡声器の音を拾って、それに合わせてLED犬ファーキーホルダーを光らせるようにするから。やっぱ、かわいい犬が光ってるとテンション上がるじゃん?」

ま、まあそうですね。犬が光るんですね。

「あと、マトリクスLEDとも接続して音量を表示させる。視覚的にもしゃべっていることをアピールできるようにね」

このシステム一式は首から提げるため、ボイスチェンジャーの裏には100円ショップのスマホリングを貼り付けて、ネックストラップを通せるようにしておきます。

ここまで、あまり電子工作っぽい感じがしませんね。市販のものを買ってきて組み合わせているだけって感じで。

「ほんとはさ、ボイスチェンジャーと拡声器を自分で作ろうと思ったんだけど、どっちもArduinoでイチから作るよりも買ったほうが安いんだよね。作るよりも買ったほうが安い場合は無理はしない。それがストリート電子工作だから!」

無理はしない。非常に心にしみるお言葉です。さすが、ストリート電子工作界のカリスマは、言うことが違う!

ホットボンドがあればなんとかなる。それがストリートの流儀

こちらは、音量アップした音声を拾って光るほうのユニット。100円ショップのビニールポーチに犬のキーホルダー、マトリクスLED、電池ボックス、LEDテープがつながっています。

「これから、このLEDテープを犬に仕込んで光るようにするから」

そういうと、ハサミを手にしておもむろに犬のぬいぐるみの開腹手術にとりかかります。

ハサミでガンガンお腹を開いていきます。結構力が要る作業です。

「中国製の安いファーおもちゃは、ほとんどホットボンドで接着されてるんだよね。糸で縫わないの。どうせファーで隠れちゃうからだと思うんだけど」

なるほど。ホットボンドはいたるところで使われているんですね。

頭の部分に丸い発泡スチロールが入っていました。ここにLEDテープを巻き付けます。もちろん接着はホットボンドで。

「ホットボンドがあればなんとかなる。それがストリートの流儀」

そんな独り言を言いながら、きょうこさんはLEDテープを尻尾のほうにもねじ込んでいきます。

そして、LED内蔵となった犬はこちら。

「ちょっとLED見えてるのも、内臓見せてるような感じでおしゃれじゃん。大勝利」

アンドロイドっぽい趣で、これはこれでアリですね。もちろんもう1匹の犬にもLEDを仕込みます。

音声に反応して光るということで、テスト。

光る! また光り方が妖しいというか下品というか。それがストリートっぽくもあります。

マトリクスLEDはビニールポーチに仕込みます。

配線を通す穴はハサミで大胆に開けていきます。

「100円ショップのポーチだし、使ってる部品も安いから思い切りやる」

配線を通してマトリクスLEDを再配線。ケーブルの向きには気を付けましょう(ちょっと工作の解説っぽくなってきた)。

もちろん接着はホットボンド。ビニールポーチが熱で少し溶けちゃいますけど気にしない。どうせ固まるんですから。

「ホットボンドは、段差があるものも接着できる最強の接着剤なんだよ。ホットボンドは量で勝負。アメリカのDIYサイトとか見てると、なんでもかんでもホットボンドで解決しているヤツらがいるんだよね。すごい厚い板を、釘を使わないでホットボンドでくっつけてる。要はダクトテープと同じ感じ。何でもくっつけられる夢の接着剤、それがホットボンドなんだよね」

いかにもアメリカらしい発想で生まれたんですね、ホットボンドって……。

マトリクスLEDとマイクアンプをポーチの前面に取り付けたら、中には3本目のLEDテープと電池ボックスを配置。これで光るパーツ部分は完成です。

あとは、先ほど作った音声部分と一緒に首から提げて、ピンマイクを付ければOK!

ストリート電子工作で未来を創りたい

「あたしの電子工作って、一時期ちゃんとした工学系の人にすごい嫌われてたんだよね〜。まあ分かるけどさ」

なんで嫌がられてたんですかね?

「今回もそうなんだけど、作っていて自分でなにやってるのか分からなくなってくる“ものづくり魔境タイム”にハマるときがあるんだよね。完成形が自分の頭の中だけにあって、ゴールが他人には見えないし、教科書みたいに正しくないけどとりあえずなんでもかんでもホットボンドでくっつけていく、“考えるな、感じろ”的な電子工作だからなんだろうね」

確かに、工学系の人は理屈が通ってないと気持ち悪いと思ったりするんでしょうね。でも、結果的に出来上がっちゃうからすごいですよね。

「テクノロジー使って自分の考えた未来みたいなもの作りたいけど、あたしは理屈もあんまり分からないし、いまだに抵抗の計算もできない。あんまりちゃんとしなくても、パンクの3コードとかサンプリングループ作るみたいな初期衝動で未来をDIYしたら、超面白いじゃん。こんな人でも電子工作使ったものづくりができるArduinoって超優しいよね。大好き」

「ウェアラブルLEDボイチェンシステム」の改善点

さて、一応完成した「ウェアラブルLEDボイチェンシステム」ですけど、まだ改善点があるようです。

「まず、マトリクスLEDの音量表示が、ノイズの多い場所だと反応しないことがある。あと、ボイスチェンジャーで話すと、なんでもかんでも顔にモザイクかかった人のインタビューのようになっちゃうから、まだウェアラブルボイスチェンジャーブームが来ないなと思ったね。しかも、コンビニで使えば店員さんにも自分にもメリットあるかなと思ったけど、ワンチャン通報される可能性あるね」

通報されたら意味ないじゃないですか! まあ、怪しいっちゃぁ怪しいですもんね。でも、何年かしたらこういうのがニューノーマルになってる可能性だってワンチャンありますからね。スト工は未来を創ってるんですから!

ということで、今回はここまで。次回のスト工もお楽しみに!!

【材料】

ボイスチェンジャー
モバイル拡声器
ピンマイク
マトリクスLED
マイクアンプMAX9814
LEDテープ
Arduino nano 互換機
電線
ステレオコード(Φ3.5ステレオL型ケーブル 1m)オス/オス
透明ポーチ
スマホにくっつけるリング
カラビナ
チェーン(音声レベルメーター用)
ストラップ(ボイスチェンジャーとハンディ拡声器用)
9V電池

ギャル電 きょうこ

今のギャルは電子工作する時代! ギャルによるギャルのための電子工作を提案するユニット「ギャル電」で活動している。 最近ハマってる飲み物はトマトジュース(無塩)

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