ギャル電きょうこのストリート電子工作
ギャル電きょうこのストリート電子工作 接触確認アプリCOCOAで盛れる! 感染対策意識爆盛れたかみざわポーチ↑↑
電子工作に必要なものは、すべてストリートで学んだ。
ストリート発の電子工作で世間をにぎわせているギャル2人組の電子工作ユニット「ギャル電」。いわゆる電子工作の常識を塗り替える作品群は、一種のドラッグのような中毒性があります。
そのギャル電のきょうこさんが、ストリート工作の神髄を見せつけてくれるこの企画。今回はどんな作品が飛び出すのでしょうか?
周囲のCOCOAユーザーに反応して光るポーチ
猛威を振るう新型コロナウイルス。手指の消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンスのキープ、不要不急の外出を避けるなどなど、いろいろ気を付けてはいるものの、どこで感染するか分からないやっかいなヤツです。
そこで日本政府が世に放ったのが、感染拡大防止に役立つ接触確認アプリ「COCOA」です。これをスマホにインストールしておくと、過去14日間に新型コロナウイルス感染者との接触があった場合に通知してくれるというもの。このアプリをみんながスマホにインストールしておくと、もし感染した場合に感染経路が分かりやすくなり、検査を受けやすくなります。
今回きょうこさんが目を付けたのが、このCOCOA。
「新型コロナ以降って、リアルイベントをやるのも行くのも大変じゃん? でもどうしても行きたいってこともあると思うんだよね。そんなとき、感染拡大への対策として、イベント参加者はCOCOAをインストールしておくのがニューノーマルになる日も近いと思うの」
ふむふむ。きょうこさんは結構考えているんですね。
「ニューノーマルでサバイブしてくの当然しょ? もちろん私もインストールしてるんだけど、イマイチ効果が分かりづらいんだよね」
たしかに。基本、誰がCOCOAをインストールしているか分かりません。プライバシー保護という意味もあり、そういう仕様になっているんでしょうね。
「COCOA入れてる人がいっぱいいると盛れてるってことになったら、みんなスマホに秒でインストールすると思うんだよね。だから、COCOAで盛れないかなって思って調べたら、COCOAをインストールして有効にしてる人を調べるデバイスを作ってる人がいたから、それを参考にしてCOCOAでLEDが光って盛れるファッションアイテムを作ってみた」
ジャジャーン。こちらがその「感染対策意識爆盛れたかみざわポーチ↑↑」です。これはいったいどういうものなんですか?
「Bluetooth機能の付いているマイコンボードが近くの電波をスキャンして、COCOAが有効になっているスマホから発信されているUUID*をチェックするの。それでCOCOAのUUIDが検出された数でマトリックスLEDとLEDテープの光り方が変わるんだよ」
<注>
UUID(Universally Unique Identifier):アプリが、個々のスマートフォンを識別するために使うランダムな数値。アプリが生成して発行する。
おおおおお、近くにCOCOAをインストールしている人がいると、光り方が変わるんですね。ということは、「私の近くはCOCOAをインストールしているユーザーが多いから、感染拡大防止意識高い!」ということになりますね。
「まおが作ってたWi-Fi盛れみざわの接触確認アプリバージョンって感じかな」
なるほど。あちらはWi-Fiの電波をキャッチして光るけど、こっちはCOCOAのUUIDをキャッチして光るんですね。
ちなみに、近くにCOCOAをインストールしたスマホが0だと、マトリックスLEDはダメな顔、LEDはホットピンクに点灯。
COCOAインストールスマホが1つ検出されると、マトリックスLEDは真顔、LEDはオレンジに点滅。
3つ以上検出されるとマトリックスLEDは笑顔になり、LEDは白とブルーが交互に点滅します。
「自分以外の人もCOCOAインストールしてるんだなってことが分かると、アプリおそろじゃんってなってなんか嬉しいし、インストール数によってLEDの色とか変わるから、イメージしやすいし、光って盛れるし、なかなかいいファッションアイテムだと思うんだよね」
おそらく、新型コロナウイルス関連でこんなに光ってるグッズ、世の中にないと思いますよ!
「感染予防意識爆盛れたかみざわポーチ↑↑」の作り方
では、製作風景を見てみましょう。材料はこちら。
- ESP32マイコンチップが載ってるボード 1枚
- WS2812B LEDテープ(1m60LED)LED10個分
- 1.2インチLEDマトリックス基板(緑色)
- 電線
- ブレッドボード
- モバイルバッテリー
- イケてるウエストポーチ
まずはポーチ。今回はファッションストアのWEGOで1200円くらいで買ったポーチです。
「100均でも似たようなのあるんだけど、ベルトが安っぽくておしゃれじゃない。ベルトのちゃんとしてる感が超大事。今回は中に基板仕込む関係上、外側に透明ポケットがあるものをチョイスした」
なるほど。黒ってところが、LEDが映える感じがしていいですね。
基板はESP32 マイコンチップが載ってるボードです。それをブレッドボードに装着。そしてマトリックスLEDとLEDテープに配線。
「最近はWi-FiやBluetooth関連のデバイス作るのには、M5Stackが便利で主流なんだけど、値段的にホットボンドとかで気軽に貼れないからESP32系のボードを使ったのね。でも、いまもうあんまり流行ってないから作例の情報が調べづらくて泣いたね」
まあ、それでもESP32系使うのがギャル電マインドですよね。今回は「DOIT ESP32 DEVKIT V1」を使用。Amazonで1000円前後、AliExpressだと300〜500円くらいとのこと。
「これ、ボードによってはプログラム書き込み時とかに、リセットボタン押しっぱなしにする必要とかあるので要注意ね。ESP32のマイコンチップが載ってれば、BLEスキャンが使えるから、よく分かんないっていう人はネットで調べた作例記事で使われているボードを使うのがオススメ。でも、古い記事だとESP32系のボードのArduino開発環境へのインストール情報とか使えるライブラリの情報とかが古くて混乱するから、検索のときに日付が新しい記事からチェックしてくのがいいよ」
なかなか実用的なアドバイス……。
「スイッチサイエンスのボードとかAdafruitのHUZZAH32とかは、書き込むときにボタン押すテクニックが必要なくて、そのまま書きこめて使いやすいよ」
もっと簡単に作りたいという人は、それらを使ってみてもいいかもしれませんね。
ブレッドボードの弱点とは?
ブレッドボードに基板を載せてますけど、ちょっとゴツいですよね。
「ほんとは、コンパクトにするためにユニバーサル基板に載せたんだけど、載せた瞬間動かなくなったんだよね。で、しかたなくブレッドボードにした」
でも、ブレッドボードのほうが配線とか楽なんじゃないですか?
「ブレッドボードは試作するのには超便利なんだけど、持ち歩くデバイスを作るときとかは、動いているとき線が抜けちゃったり、差し込み穴が広がって接触不良になっちゃったりするから、すっげー急いでいるときとか以外は、バッグとかにとりま入れっぱなしにして使うのはオススメできないね」
なるほど。扱いやすい反面、部品が取れやすいんですね。今回のようにポーチに入れたりするような場合は、ブレッドボードだと配線抜けちゃう可能性あるんですね。
「あとね、これは突然の告白になるんだけど、いつもだいたい偉大なパイセンたちがインターネットに公開してくれているコードを組み合わせて作っているんだけど、if文の条件分岐で不等号の条件を自分で作るのはいまだに苦手で、雰囲気でやってるけどだいたいいつも動かしたらそれっぽく動くからまあいっか、って思ってる」
それっぽく……。そんなんで動くんですね。まあ、ギャル電流ってことでそれはいいのではないでしょうか。動いてくれれば結果オーライ。
基板をポートに組み込んで完成!
動作確認を済ませたので、ポーチに組み込んでいきます。まずはポーチの外側にLEDテープを取り付けるため、ポケットに穴を開けます。
「LEDテープは外に貼り付けるけど、ケーブルは中に入れるから、穴を開ける部分をマークして、大胆にカッターで開けていくよ」
線香とか使って、熱で溶かして穴を開けるんじゃないんですね。
「熱で開けると臭いし、テンション下がるし。なんか身体によくない匂いするでしょ。今のヤングはヘルシー指向なんで、有毒ガスとかよくないなと思って。有毒ガスとかあんまり流行りじゃない」
確かに。カッターで開けたほうが環境的にも匂い的にもいいですね。
LEDテープを取り付けたところ、なんだかアジアンテイストなポーチが爆誕しました。LEDテープの柄がアジアンですよね。
マトリックスLEDも接着。もちろんホットボンドを使います。ホットボンド、万能。
あとは給電用のモバイルバッテリーをポーチに入れれば完成です。パチパチパチパチ。
室内でのテストはこんな感じ。
部屋に3人のCOCOAユーザーがいたのですが、LEDテープの光り方がちょっと不安定ですね。Bluetoothのサーチのタイミングで光るようです。
このポーチを着けて出かければ、周囲のCOCOAユーザーの数がなんとなく分かって、「みんな結構感染拡大防止意識高いじゃん!」なんてニヤニヤしちゃうかも。
さよならブレッドボード。基板直付けでコンパクト化
後日……、きょうこさんがこんな画像を送ってきました。
「ブレッドボードに挿すためのヘッダーピン見てたら、ゲジゲジみたいでなんかイラッとしてきたから、ヘッダーピンにLEDテープとマトリックスLEDの電線を直にはんだ付けして、接続してない脚を全部カットしてホットボンドで固めた」
なかなかの力技ですね。でも見た目スッキリしました。
「ブレッドボードはほかのものでも使えるし、ゲジゲジみたいな見た目じゃなくなってコンパクトになったので、スト工的にはこれで万事オッケー↑」
こういうところ、見習っていきたいものです。
さて、次回はどんなストリートな工作が飛び出すのかな? 今から楽しみです。
※参考にさせていただいたスケッチ
ミクミンPさん 接触確認アプリが有効になっているかを調べるアプリ
@copperceleさん 近くのスマートフォンの接触確認アプリが何個有効になっているか数えるデバイス
BLEScanner
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、fabcross編集部では、記事作成にあたって
極力テレビ会議アプリやメッセージアプリなどを利用しています。
また、ものづくりや対面での取材が伴う記事では、社会的距離を取り、接触を避けるなどの配慮をしています。
ギャル電 きょうこ 今のギャルは電子工作する時代! ギャルによるギャルのための電子工作を提案するユニット「ギャル電」で活動している。 最近ハマってる飲み物はトマトジュース(無塩) Twitter / Instragram / youtube |