「土日で完成! 趣味のラズパイ」
【実機レビュー】よりパワフルになったRaspberry Pi 5を検証!
ついに発表になったRaspberry Pi 5。Raspberry Pi 4 Model Bが発表されたのは2019年6月でした。その前のRaspberry Pi 3 Model Bが発表されたのは2016年2月でしたので、今回の登場は少し遅いタイミングとなりました。このため、新しいRaspberry Piを待ち望んでいた人も多いと思います。
土日で完成! 趣味のラズパイ
第16回 ラズパイとChatGPTで遊ぼう——圧電ブザーで音を鳴らす
第15回 ラズパイとChatGPTで遊ぼう——気温/湿度/気圧を測定する
第14回 ChatGPTで遊ぼう——ラズパイで作ったデジタル時計に天気情報も表示させる
第13回 ラズパイとChatGPTで遊ぼう——液晶時計を作る
第12回 ラズパイとChatGPTで遊ぶ——その1:Lチカさせてみる
第11回 ラズパイをブリッジモードで使って、Wi-Fi接続する
第10回 ラズパイをWi-Fiルーターにする
特別編 【実機レビュー】よりパワフルになったRaspberry Pi 5を検証!
第9回 VolumioでラズパイからSpotifyやradikoを楽しむ
第8回 ラズパイで音楽プレーヤー「Volumio」を楽しむ
第7回 GPSを導入して正確な時刻を刻む
第6回 ラズパイをNTPサーバーにする
第5回 ラズパイを使ってデジタル時計を作る
第4回 Raspberry Pi Camera Module 3を使って見守りカメラを作る
第3回 BME680の測定データを小型ディスプレイに表示させる
第2回 空気質センサー「BME680」で空気汚染度を測る
第1回 ラズパイ工作の基本! 気温と湿度、気圧を計測する
一覧ページへ
Raspberry Pi 5についてはさまざまな所で報じられているので、概要についてはご存じの方も多いかもしれません。改めて整理しておくと以下のようになります。
何といっても大きな変化はSoCの進化でしょう。SoCが最新のBroadcom BCM2712(4コア/2.4GHz、Arm Cortex-A76)に変更されたほか、駆動周波数もRaspberry Pi 4の1.5GHzから2.4GHzへと大幅にアップ。これにより処理能力が大きく上がっています。
ところで今回、スイッチサイエンス様のご厚意により、発売前のRaspberry Pi 5を借りることができました。そこで本体回りやその性能について見ていきたいと思います。
本体回りを見ていく
まずは上部基板から見ていきましょう。中央の銀色の部分がSoCです。その右上にある、ラズパイアイコンが印刷されているチップが新しく導入された「RP1 I/Oコントローラー」です。RP1 I/OコントローラーはUSB 2.0とUSB 3.0の2個ずつのポート、ギガビットイーサネットコントローラー、2個の4レーンMIPI、アナログ映像出力、GPIOを管理します。
カメラ入力と映像出力のMIPIインターフェースが変更になり、Raspberry Pi Zeroと同じピッチの22ピンMIPIインターフェースが2つ用意されます。このMIPIインターフェースはカメラ入力と映像出力が共用となっており、カメラ2台またはディスプレイ2台、カメラ+ディスプレイという使い方ができます。またこれに伴い、音声/映像出力のための3.5ミリジャックが廃止されています。
そしてこれまで映像出力のMIPIインターフェースがあった場所に、PCIe2.0×1のインターフェースが用意されました。こちらには別途発売されるM.2 HATを利用してM.2ストレージが取り付けられるようになります。またPCIeインターフェースの横に電源ボタンが用意されました。これは電源を入れていったんラズパイをシャットダウンしたあと、もう一度起動する際に利用します。
USBと有線LAN用のRJ45コネクターですが、Raspberry Pi 2/3と同じように有線LANコネクターが左に戻りました。
また、Raspberry Pi 5ではリアルタイムクロック(RTC)が実装されました。場所はUSB Type-Cコネクターの上にある電源管理ICの中です。このICはRTCのほか電源ボタンなども制御しています。なおRTC用のバッテリー(電池)も発売されることが決定しています。
このほか電源とHDMI OUT周りの配置は変わりませんが、電源供給がこれまでの5V3Aから5V5Aへと変更になっています。5V3Aでも動作しますが、USBに機器を接続すると電力不足になります。これが結構問題で、現在ラズベリーパイ財団の認証を受けているACアダプターは1つありますが、PSE(電気用品安全法)認証を通っていないため日本では使えません。国内代理店であるKSYは、ラズベリーパイ財団の認定を得たPSE準拠のACアダプターを発売するとしています。
上部基板だけでなく背面基板も掲載しておきます。
ベンチマークテストで実力を知る
ではRaspberry Pi 5について、定番のUnixBenchを走らせてみた結果が以下の通りです。Raspberry Pi 4 Model B(以下、Raspberry Pi 4)、Raspberry Pi 3 Model B+(以下、Raspberry Pi 3)と比較してみました。Raspberry Pi 5の搭載メモリは8GBでしたので、Raspberry Pi 4についても8GB版を使っています。
なお検証したRaspberry Pi 5は技適を通っていませんので、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」の届け出を出した上で検証しています。
グラフを見ても分かりますが、1コアではRaspberry Pi 5はRaspberry Pi 4のダブルスコア以上、4コアでもほぼダブルスコアという結果です。いちばんの原因は駆動周波数が向上したためと思われますが、これほど差が付くのかと思いました。Raspberry Pi 3は言わずもがなですが、性能向上の歴史が見えるようで興味深いですね。
極めて高い性能を発揮したRaspberry Pi 5
ベンチマークテストの結果でも分かりますが、Raspberry Pi 5はRaspberry Pi 4に比べてかなり高い性能を発揮していました。消費電力が上がっているのが気になるものの、これだけの処理能力があるので、AI分野などでも活躍の場が広がっていくものと考えられます。日本での発売はまだ先のようですが、一日も早く手に入れて、さまざまなことをやらせてみたいものです。
企画協力:スイッチサイエンス