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HAKKOの女性グループ「はんだづけ小町」に学ぶ、はんだライフの始め方
身近な情報発信で、ビギナーとプロの間を埋める
はんだづけ小町はFacebookページでも情報発信しています。展示会などの活動報告のほか、はんだこての豆知識やメンテナンスのやり方を伝える「小町ちゃんのはんだづけ講座」が掲載されています。
「掲載するコンテンツはどのように決めているのでしょうか?」 |
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「担当している業務の中で、毎日はんだこての使い方や悩みの相談をいただくんです。そのなかでも多くの方に共通している質問について、イラストなどを添えた分かりやすい解説を掲載しています。展示会に出展したときにも質問をいただくので、それにも応えていきたいですね」 |
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「イラスト付きのコンテンツは学校の先生にも人気が高くて、『これ本にせぇへんの?』なんて言われることもあります」 |
Facebookページでは個別の質問に対しても丁寧に対応しており、はんだづけ小町とユーザーとの距離の近さが感じられます。他方、HAKKOではプロ向けの養成講座も実施しています。
「プロ向けの認定試験として、マイクロソルダリング技術検定というものが実施されています。日本溶接協会が主催しており、うちでもその指定校として受講することができるんです。鉛フリーのはんだを使うようになってからスクールの需要がとても高まり、数カ月先まで埋まっているほどの人気ぶりです」 |
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「名刺に記載のあった“マイクロソルダリング技術レベル”って、この試験で取得したものなんですか?」 |
「レベルそのものは社内で規定されたもので、レベル1はHAKKOの社員全員が持っています。入社何日目かの新人社員研修で、丸一日かけて試験をするんですよ。レベル3は日本溶接協会の上級オペーレーター資格をパスしていることが必要となります。」 |
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「スクールの内容を見ていても、はんだ付けの原理やメカニズムをちゃんと知ってもらうことが重要だと思います。使った後の処理なども含めて学ぶと、途端にはんだづけのレベルがあがるんです。とはいえ、ソルダリングスクール自体は主に社会人を対象としたもので、時間も費用もそれなりにかかります。はんだづけ小町の活動は、プロではない学生や趣味で楽しむビギナーが学ぶ機会をカバーしているんです」 |
電子工作の普及に合わせ、はんだ付けを行う機会も増えてきた。プロのための環境は整備されていましたが、趣味として始めた人がしっかり原理から学べる場所は多くありませんでした。はんだづけ小町は、プロとビギナーの間にぽっかりと空いた溝を埋めるような活動をしていると言えるかもしれません。
「かわいい」が新製品を生んだ
最後に、小町のメンバーにお薦めのはんだこてを聞いてみました。
「実は自分では持っていないんです。会社に来ればそこら中にあるので(笑)」 |
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「お客様の口コミが良くて、私たちも初心者にお薦めできるのが『FX-600』という機種です。温度設定ができてこて先の種類も豊富なので、結構いろいろなものに使えます。汎用性が高いので、ワークショップでも人気です! はんだ付けってやっぱり適切な温度の熱を与えるっていうのが大前提になるので、温度設定の機能が欲しいというお客様がたくさんおられますし、メーカーとしても温度設定できるものをお薦めしています」 |
FX-600は通常カラーに加えて「ピンク」「ゴールド」「シルバー」の3色展開しています。これらの新色が発売されたのも、小町の活動がきっかけでした。
「小町のメンバーで、ちょっとかわいい色があったらいいなっていう話をしていたんです。最初はピンクだけのつもりだったんですけど、社内の人たちに提案したらすごく協力してくれて。この色どう? っていう感じで提案されたものを見て『めっちゃいい色や!』って思って、結局3色になりました」 |
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「3色の中ではピンクが人気で、男性でも購入される方が多かったですね」 |
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「オリジナルのノベルティグッズまでは作るだろうと予想していたんですけど、製品化にまで至るとはまったく思っていなかったです……(笑)」 |
「かわいい」から始まり、ついには新製品まで世に送り出したはんだづけ小町。デザインのかわいさを紐解いた先には、はんだこての「長く付き合うハンドツール」としての特性と、そこに込められたHAKKOの理念が見えてきました。
ユーザー目線のSNS運営やグッズ展開からは、等身大ではんだこてと付き合っていくヒントをもらったような気がします。楽しそうに話をする皆さんを見ていると、僕も自分のお気に入りの一本を見つけて、自分なりのはんだライフを始めてみたくなりました。