トークイベントレポート
【大人になってからでも大丈夫】始めてみよう、ものづくり
2014/10/15 17:00
脳波で筋肉が膨らむ仕込み筋肉3号機
越:では最近のお二人の活動について教えていただけますか。
森:午前中に新しく公開したものがあるので見ましょう。
森:ヘアバンドの中に脳波センサーがついてて、怒ったり、すごく集中すると弁が開いて、ほんとにスーツが膨らむんです。
「スーツ着るとすごく強そうになって、脳波を検知することができて、煙なんかつけたらすごく面白そうじゃないか」っていうアイデアを基に作ってもらったという。1人で作ってきたことと全く違うものができる、ちゃんとしたものができる、ってところが非常に面白かったですね。
越:開発にどれくらいかかったんですか?
森:1ヵ月半から2ヵ月かかりましたね。脳波を検知して弁が開いて空気がバーッと出るんですけど、いわゆる膨らむところの素材とかが難しかった。突発的に膨らむために、どれだけ瞬間的に空気が出るための用意をしないといけないとか。
ちなみにこれは誰でも着られます。で、意外と集中力がいります。装着した人がものすごく集中すると、メーターがウォーって上がって体がウォーってなるんです。
石:集中する以外でどういうときに膨らみやすいんですか? 例えば、笑うとか怒るとか?
森:センサから取得した数値をPCのモニタでチェックするんですけど集中力を80%以上振り切る のって意外とできないんですよ、人って。すっごく神経を集中しないとできなくて。それで、昔飼っていた犬が、蛇ヘビに噛かまれて死んだ悲しさを思い出したら、振り切れましたね。
石:悲しさ?
森:悲しさですね。あと、この間、向かいに住んでるおばあさんにいきなり怒鳴られて、すごく泣きそうになっちゃたんです。
越:なぜ怒られたんですか?
森:いや、普通に外出したら、何故か。恐いなぁと思って、僕もそれなりに気付いたらこういう歳になってたし、ということもあったりして。あれ、なんの話でしてたっけ? すみません。
越:話を戻すと、これって脳波をトリガーにして何かを動かせるっていう知識がないと、森さんの中でできないわけですよね?
森:全く知識なかったですけど、Makeのイベントに出ると、いろんな作品を体験できて、「そういうのがあるんだ!」ってのが、知識としてたまっていくんですね。
越:何ができるとか、こういうことに応用できるという引き出しを作るって、すごく大事なことですよね。Makeみたいなイベントは、情報収集する意味ではすごくいいイベントなんじゃないかなと思うんです。
森:それはすごく感じましたね。
越:自分がやりたいものが出てくるかもしれないじゃないですか。これだったら面白いからやってみようとか。
森:ほんといろいろと触れるのは大切というか。iPhone見て、仕込みiPhone作ろうと思ったんで。
越:それちょっと違うかもしれないですね(笑)。
森:iPhoneだけでは仕込みiPhoneにはならなかったですね。
石:僕もね、世の中にしょうゆがなかったら、しょうゆかけ過ぎ機はできなかったんで(笑)。
越:石川さんの最近の活動について教えてもらえますか?
石:最近、「ヘボコン」というイベントをやったんですよ。高専生や大学生がロボットを作ってやる競技みたいな「ロボコン」ってあるじゃないですか。それの真似をしてですね、「技術力が低い人専用ロボコン」(≒ヘボコン)ってのをやったんですよ。それが非常に盛り上がりまして。そこに出てきた人は、ほんとにロボットとか作ったことない人ばっかりで、まさにこれからものづくり始めるみたいな人たちだったんですけど、すごく良かった。それをちょっとVTRで紹介します。
石:この動画を見て「ヘボコンって言うけど、意外に技術あるじゃん」ってよく言われます。でも、ちゃんと動いているように見えるのって、全部TAMIYAのキットなんですよ。そのキットに、皮をかぶせたりとか、あとなんか余計な改造をしたりとかで、かろうじて動いてるという状態で、ほんとに工作の技術自体は全然大したことないんです。けど、そういう人たちでもちゃんと目的を持って作れば、こういう面白いものができる。すごくコンテンツ力のあるものができてるじゃないですか。
出演者の1人が「案外、線をつないだら動くよ」って言ってて(笑)、僕それがすごくいいなぁと思って。
越:カッコいいですね、そこだけ抜き取ると(笑)
森:世の中、動くものがたくさんありますよね。つなげばいいってものが。
石:そうそう、それを使っちゃえば。自分が一から作ろうと思うと大変なんですけど。TAMIYAのキットや、UFOキャッチャーで取ったおもちゃを使うとか、そういう改造から始めると意外になんかできちゃったりする。
森:モーターとかちょっと使えたらね、もっとできちゃうのにね。
石:いいものを作ろうと思うとほんと難しいんですけど、ヘボくていいやって思ってるとすぐできちゃう。ヘボいものがつまんないかっていうとそうじゃなくて、ヘボさゆえの面白さみたいものがある。それはそれで価値があるので、自分はまだ何もできないからと尻込みするより、とりあえず手を動かしちゃった方がいいんじゃないかと思います。
越: ヘボコンの途中で、ゲスト・プレゼンテーションで登壇されたバガボンドワークスさんが「作りたい作りたいって言ってるより、作っちゃったやつのほうが偉い」っていう、すごくいい言葉を仰ってました。レベルなんかより「とにかくやってみる」ことがすごく大事ということをあのイベントは体現していて、すごく感動的でした。
石:なんかものを作りたいときに、勉強しちゃいがちじゃないですか。例えば、電子工作してみたいと思ったときに、電子回路入門みたいな本を図書館で借りてくるような。それは僕あまりやんないほうがいいと思ってます。なぜかっていうと、勉強し始めると難しいとこがいっぱい見えてきて、段々テンション下がってくるんですよ。それより、自分がこんなの作りたいなってぼんやりと思い浮かべて、それに必要なことだけをネットで調べ、かつその応用編みたいのは一切読まないようにするんですよ。そうすると、自分の目的だけを達成できるうえに、テンションを高いところで保てるから、ゴールまでたどり着きやすいんじゃないかと思うんです。
それと、できなかったらできなかったで、それはそれで面白いからいいや、って気持ちは大事ですよね。