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アーティストJohn Hathwayインタビュー

メーカーには絶対作れないワガママなプロダクトをつくる!

Ⅴ.コンセプトモデルではなく、社会で流通する「商品」にすることで作品世界が現実化する。

(Electric Lolita -超伝導のマリア-)彼の描く絵の中には『真空管ヘッドフォン』をつけた少女が頻繁に登場する。

ーーーなぜ、世界にひとつだけの作品を作るのではなく、商品として販売することにこだわりがあるのですか?

「この真空管ヘッドフォンは完全な本物として作りたかったんです。例えば、スターウォーズのライトセーバーのレプリカが売っているじゃないですか。あれはあくまでもレプリカです。でも、僕はこの真空管ヘッドフォンを“本物”という位置づけにしています。もしあなたが“魔法真空管”を手に入れて、標準搭載されている“普通の真空管”と交換すれば、実際に“電楽”が聴こえてくるヘッドフォンになるという設定なんです。

例えばライトセーバーのおもちゃは、スターウォーズのストーリーありきでものづくりをしているから、レプリカと呼ばれるんです。でも、僕はストーリーもプロダクトも同時に作っているから、逆にストーリーをプロダクトへ寄せていくこともできるんです。そうすると、ストーリーとプロダクトの完全な中間に位置する物体ができあがります。だからこれを街中で使う人がでてくれば、絵に描いた世界が現実になるというコンセプトなんですよ。この真空管ヘッドフォンをポータブルな作りにしたのは、みんなに街中で使ってほしいという願いからです。僕が描いたストーリーが実社会へ染み出した時、本当にこの作品が完成するんです。そのためにはまず、この作品を商品として「流通」させる必要があります。

それから、僕はコンセプトモデルや自分専用のものづくりはすごく嫌いで、僕にとっては作ったものが社会へ浸透することこそが価値なんです。例えば、メーカーが作るコンセプトモデルには素晴らしいものがいくつもあるんですが、買えないもどかしさが常にあります。やっぱりそれって、メーカーはPL法とか、いろんな規制や束縛条件の中でものを作っているからですよね。でも、それじゃあ本当に自由なものづくりはできないのではないかと感じています。だから僕はプロダクトが流通するまでを“アート作品”として捉えることで、自由なプロダクトを世の中に送り出したいと思っています。このケースでは流通も含めて初めてアート作品と考えてます。

ただもちろん、売る以上は社会的責任もありますから、説明書に“絶対にこのようには使わないでください”ということを明記したり、壊れたらちゃんと1年間保証するとか……こちらでやれることは、なるべく全てきちんとやっているつもりです」

ーーー商品として販売して、なにか嬉しいフィードバックはありましたか?

「尖った作品でもあるので、継続して使ってもらえるものか不安でしたが、周辺の方の情報で村上隆さんや他の方からも仕事中などに長く愛用してくださっているとお聞きして、とても嬉しいです。」

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