Gugenインタビュー
「未来のふつう」を作るものづくりを支援する「Gugen」が目指すもの
これからのものづくりに必要な視点と課題とは
ものづくりを通じて未来を考える視点には大きく分けて二つ、今の生活に変化を及ぼすものと、新たな視点を生み出すものが存在するのではと後藤氏は語る。その中で、大賞を受賞した「筋電義手”Handie”」は、今の生活の延長線にはない新しい視点のものづくりだったことが受賞の大きな理由だという。授賞式で コンテスト審査員の一人である孫泰蔵氏は「第三の手」とHandieを評し、「未来を変えていく可能性を秘めた作品」と話している。
より充実した支援体制を作る環境を
Gugenとしては、まだまだこれからだと後藤氏は言う。「一般の方々にものづくりの価値を伝えて終わりではなく、応募された作品をどう具現化するか、そのサポート体制をどうするかが今後の課題です。具現化に対する細かな道のりは、これから作っていく部分もあります。さまざまな支援や意見をいただきながら、より充実した支援体制を作っていかなければいけません」
今後は、展示会や授賞式のみならず、ある特定の課題をテーマに据えたアイデアソンをコンテスト以外にも活発に開催したり、ものづくりに携わる企画との連携を図ったりすることを予定しており、そうした企画を通じてユーザーの声を反映したものづくりの場作りを行っていきたいという。スポンサー企業に対しても、作品に対してより踏み込んだ支援やサポートのための仕組みが必要だと崔氏は考えている。
ものづくりのための新しいプラットフォームへとなるために
「未来のふつう」を作るエンジニアになるためには、日常にある課題に対してどういった解決策をものづくりで提示するかを考えることが必要だと言う崔氏。プロトタイプをいきなり作り始めるのではなく、アイデアの企画段階でユーザーのニーズを把握するためのアクションを実践することで、より課題解決につながるものづくりが行えるのでは、と語る。そのためには、エンジニア一人で作ろうとするのではなく、チームで作ることに意味がでてくるのだという。
「複数の人で作ることで多様な視点を持つことができます。今後はマーケターやアナリストのような人たちとエンジニアとが協力し、ジャンルや分野の垣根を超えたつながりにこそ、新しいものづくりを作る可能性が秘めています」(崔氏)
アイデアをもとに、よりよいGugenを作り上げていく
大賞を受賞したHandieにも見られるように、コスト感覚もこれからは求められる。製品化を考える上でも、コスト感覚を始めから持つことでより実現可能性の高いものづくりができる。企業が持つ技術と学生や研究者のアイデアを交流させ、新しいチーム編成を作りだすことで、ものづくりの幅が広がる可能性もある。Gugenとして回を重ねるにあたり、そうしたさまざまなアイデアをもとに、より素晴らしい場を提供していきたいというのが後藤氏の考えだ。
「今はものづくりにとっていい時代。Gugenは、まさに時代の中で生まれたプラットフォームだと感じています。さまざまな意見をもとにみなさんと共に作っていく場にしていきながら、日本をより面白いものにしていきたい」(後藤氏)