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宇田道信インタビュー

理想の楽器を目指す——唯一無二のオリジナル楽器「ウダー」開発記

大学時代から十数年を経て理想の楽器・ウダーの開発を続ける宇田道信さん。その発想の源と、数々の試行錯誤の経緯、そしてこれからを伺った。(撮影:加藤甫)

美しい音色を奏でる不思議な物体の正体

超小型人工衛星か、超古代文明の遺物かと見紛う謎の物体。そこから延びるコードの先は、陶器か書画の逸品でも入っていそうな桐箱につながっている。その正体は、外資系半導体メーカーを経てフリーのエンジニアとなった宇田道信さんが発明したデジタル制御の電子楽器「ウダー」。

怪しい見た目や電子楽器一般のイメージとは裏腹に、演奏している姿はバンドネオンやアコーディオンのそれを思わせ、オカリナやリコーダーを思わせる優しげで透き通った音色を奏でる。まずはその美しい音色を動画で確認してほしい。 

ウダー本体の仕組みと特徴

ウダー本体は筒を横倒しにした形状で、中央の凸部を膝に載せて左右から両手で支える。凸部を挟んで左右対称にそれぞれ一本のロープがらせん状に巻かれ、それを指でなぞると凸部側が低い音、持ち手側が高い音へなめらかに音程が変わり、らせんを一周すると1オクターブ音程が変わる。音域(らせんの巻き数)も左右同じ。筒は正十二角柱で、各面の上を鍵盤を弾くように押さえれば、半音ごとにクロマチックに音程が変わる。また、複数の指で同時に押さえれば和音が鳴り、押さえる強さで音量に強弱をつけられる。

ウダー本体からは電話線などに使われるモジュラケーブルで桐箱へと演奏情報が伝えられ、そこに収められた音源部、アンプ、スピーカーを通して発音する。 

ウダー4.5(本体)とウダーモバイルKiri(音源部)。 ウダー4.5(本体)とウダーモバイルKiri(音源部)。

音楽的にも理にかなった仕組みで、音程や音量のなめらかな変化で表情豊かな演奏ができ、素早く和音を出せるのでリズミカルな伴奏もできる。また、メロディーでもコードでも弾き始めの位置を変えるだけで同じ指使いのまま移調・転調できる。左右対称構造なので右利き、左利きの区別もない。

ウダーの持ち方。左右に角の様に飛び出した持ち手部分に指をかけ、手のひらで筐体の側面を押さえつけるようにして支えることで、左右の全ての指を演奏に使うことができる。 ウダーの持ち方。左右に角の様に飛び出した持ち手部分に指をかけ、手のひらで筐体の側面を押さえつけるようにして支えることで、左右の全ての指を演奏に使うことができる。

ギターからスタートし、理想の楽器を目指す

「高校時代まで音楽経験は無く、大学では情報工学科に入ったんですが、そこでクラシックギターのサークルに入ったのをきっかけに楽器演奏の楽しさに目覚めたんです」

と語る宇田さんだが、早々にある疑問を感じる。入門しやすい楽器と言われるギターでさえ、弦の音程の並びは一目見ただけでは分からず、コードごとに指使いを覚えなければならない。しかし、発音の仕組みにとらわれない電子楽器なら、もっと分かりやすい演奏方法をデザインできるのでは?と。こうして、ギターの弦のようなものを押さえて演奏する電子楽器、という発想を原点とする、宇田さんにとっての「理想の楽器」作りが始まった。 

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