moff 高萩昭範インタビュー
研究開発と仮説検証で導き出す、子供たちを笑顔にする「MoffBand」
スマートフォンを利用した「スマートトイ」というおもちゃの分野がある。腕に装着したデバイスとスマートフォンアプリが連動して、さまざまな遊びができる「MoffBand」もそのひとつ。クラウドファンディングサイトKickstarterで資金調達に成功するなど、国内外でも注目を浴びている。MoffBand開発に至る過程や、今後の展開などについてMoff代表取締役の高萩昭範氏にお話を伺った。(撮影:加藤甫)
大企業からベンチャーへ、きっかけは『MAKERS』
MoffBandは、腕時計のように手首に装着し、腕を振るなどのジェスチャーに対応してスマートフォンアプリから効果音を奏でながら遊べるスマートトイと呼ばれるおもちゃだ。効果音を切り替えれば幾通りもの遊び方ができ、デバイス一つで子どもから大人までが楽しめる。2014年3月に製品化のためにクラウドファンディングサイトKickstarterに出品し、7万ドル以上もの資金を調達して海外から新しいスマートトイとしても注目を集めた。10月15日からは、ECサイトなどで販売する予定だ。
Moff - a wearable smart toy - from Moff on Vimeo.
経営コンサルティング会社A.T.カーニーやメルセデスベンツの企画部門などの経歴をもつ高萩氏。幼少期からものづくりに憧れ、ソニー創業者の盛田昭夫氏のようになりたいと思っていたという。しかし、メルセデスの経験からものづくりには巨大な工場やスタッフが必要だと痛感し、自身でメーカーを作ることは難しいと考えていた。そんな折、2012年に出版されたクリス・アンダーソン氏の『MAKERS』を読み、ソフトウェアやクラウドを活用することでそれまでとは違った新しいものづくりができるのではと感じたという。そうした思いから、ものづくりに関するイベントに参加してみたいと考え、2013年1月に開催された大阪市主催の「第1回ものアプリハッカソン」に参加した。そこで出会ったメンバーと意気投合し、メンバーと起業することを決意したという。
「チームのテーマは家族の中にある課題を解決するものを開発するというもので、ハッカソンのときはぬいぐるみを触るとLINEのようなスタンプをスマートフォンアプリに通知して、子どもと大人が気軽にコミュニケーションできる、といったものを開発しました。しかし、課題解決という視点や、継続的なビジネスモデルといった視点が足りず、プロトタイプだけで終わってしまいました。そこで、より課題をフォーカスしてみようと考え、子どもにフォーカスした課題解決のものづくりをしようということになったのです」