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moff 高萩昭範インタビュー 

研究開発と仮説検証で導き出す、子供たちを笑顔にする「MoffBand」

シンプルなハードウェアを軸に、ソフトウェアで拡張を図る

「デバイスはできるだけシンプルにし、ソフトウェアを中心にさまざまな拡張を図ることで、楽しみ方をユーザー自身で考えてもらうことができる」 「デバイスはできるだけシンプルにし、ソフトウェアを中心にさまざまな拡張を図ることで、楽しみ方をユーザー自身で考えてもらうことができる」

開発にあたって、デバイスはBluetoothと電池を中心にできるだけシンプルなものにしたと語る高萩氏。あえてスピーカーはつけなかったのもポイントだという。

「周囲からはスピーカーを付けた方がいいとコメントをいただきましたが、ユーザーテストなどを踏まえてなくても大丈夫だと考えました。スピーカーを付けるとデバイスが大きくなり、内部も複雑になりがちですし、スピーカーを付けるとデバイスだけですべてが完結してしまい、アプリと連動する意味もありません。ソフトウェアを通じてハードウェアのさまざまな機能を拡張するためにも、あえて機能を分けることに意味があると考えました」

ソフトウェアはセンサ認識にこだわり、パターン認証やモーションライブラリを充実させ、細かな身体の動きに対応した音が鳴るような計算を追求しているという。最近のアップデートでは、ドラムモードを追加。腕の高低や左右の位置を解析して、あたかも実際にドラムを演奏しているかのような演出もできる。 

基本的なスペックを持ったハードウェアをベースに、高機能なスマートフォンと連携してアプリをアップデートすることで、さまざまなものに変化させることができると語る高萩氏。ハードウェアとソフトウェアの連携にこそ、これからのものづくりのあり方としてまだまだ可能性を秘めているという。

ハードウェアがあってこそ、ソフトウェアの価値は無限に広がる

「ハードウェアという基盤があるからソフトウェアがある。だからこそ、ハードウェア開発をおろそかにしてはいけない」 「ハードウェアという基盤があるからソフトウェアがある。だからこそ、ハードウェア開発をおろそかにしてはいけない」

MoffBandは現在6名程度のチームで開発しているが、iOSアプリ開発者やセンサ研究を行っている人など、主にソフトウェアやセンサ解析などの人材を募集している。もちろんハードウェア開発をおろそかにしているわけではない。ハードウェアがあってこそソフトウェアが生きると高萩氏は語り、ハードウェアもできるだけシンプルにしつつ機能や品質の向上にも引き続き取り組んでいく。さらに、MoffBandの販売だけではなく、MoffBandを通じて集まったモーションデータをもとにしたデータ解析やデータビジネスも視野にいれているという。

「人のさまざまな動きを分析するためには、モーションデータが必要です。そうしたデータをMoffBandが収集し、活動量計などのウェアラブルデバイスのサービスを提供する企業などに対して、デバイスの認識の正確性や精密さを向上させるお手伝いができるかもしれません。企業としての活動を考えたとき、ものを売るだけではなくさまざまなデータの活用方法にこそ道があるのではと考えています。もちろん、ハードウェアがあってこそこのビジネスは成り立ちます。メーカーにいたからこそ、ハードウェアをより良いものにするための開発や量産体制、カスタマーサポート、在庫調整などの一連の流れの重要性は理解していますし、ソフトウェアを絡めたものづくりだからこそ、ハードウェアを軽視してはいけないと考えています」

ユーザー数、開発したモーションライブラリの充実、集まったデータ量。この3つの要素がMoffの企業価値につながるとし、そのためにも日々ユーザーに対してより良いものを提供することを忘れてはいけないと語る。

「初めからデータビジネスを想定していたわけではなく、MoffBandを開発してきた中でそういった可能性が見えてきただけです。今後は、より洗練されたデバイスのデザインや小型化、高機能化といったリッチ化、腕時計型以外の可能性など、さまざまな展開を視野にいれながら事業を進めていきたいです」 

人が持つ五感を大事にすること

「まだまだMoffBand自体も未完成なもの。日々の開発で改良を重ねていきたい」 「まだまだMoffBand自体も未完成なもの。日々の開発で改良を重ねていきたい」

日々の活動の基本にあるのはユーザーに対する綿密な観察や調査、コミュニケーションだと語る高萩氏は、積極的にミートアップや子ども向けの体験会などを企画していくという。ユーザーと交流し、実際の現場を見て、使っている人たちの生の声を聞くことで、常に新しい発見や気づきがあるとし、現在のものが完成形とは考えず、常に修正や改善、仮説検証を重ねるなど、絶え間なく改良を重ねていきたいと語る。

「Moffの哲学は、直感や身体性のある体験を提供すること。人が持つ五感や感覚を大事にしながら、新しいデバイスやインターフェイスのあり方を追求していきながら、新しいものづくりに挑戦していきたいです」 

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