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おしゃぶりセンサ開発者 石井健太郎 尾形正泰インタビュー

GUGEN2014大賞受賞、赤ちゃん研究から生まれたおしゃぶりセンサのこれから

距離や赤外線センサをもとに、赤ちゃんのさまざまな行動を知らせてくれる「おしゃぶりセンサ」。GUGEN2014に出展されたこの製品は、子育てをしている人の課題を解決した製品として、満場一致で大賞を受賞した。おしゃぶりセンサを開発した「なんでもセンサ開発チーム」の石井健太郎氏と尾形正泰氏に、開発の経緯や製品の今後についてお話を伺った。(撮影:加藤甫)

「正直言えば、いい展示の機会になるのでは、くらいの軽い気持ちの出展だった。受賞するとは思っておらず、まさか一次審査を通過してさらに大賞をいただけるとは思ってもいなかった。最終プレゼンの資料を準備していなかったので、その場で作ったことが一番印象に残っている」

そう語るのは、ピーバンドットコムが主催する、「未来のふつうを実現する」をコンセプトにしたものづくりコンテスト「GUGEN2014」で優勝した、東京大学大学院総合文化研究科開研究室特任研究員の石井健太郎氏と慶応義塾大学大学院理工学研究科の尾形正泰氏の2人だ。GUGEN2014は課題解決と実用性や商品性の高いアイデアを表彰するコンテストで、126作品もの応募のなかから優勝したのが、2人が開発した「おしゃぶりセンサ」だ。 

赤ちゃんの行動を測定するおしゃぶりセンサ

おしゃぶりセンサは、乳児が使用するおしゃぶりに距離センサと赤外線センサを内蔵し、吸っているかどうかや、吸い方、強さのデータを収集しパターン化したものをデータベースとして分析する。センサから得たデータをもとに、赤ちゃんが寝ているかどうかや、もうすぐお腹がすきそう、もうすぐ泣きそう、といった乳児の状態を推定して、それをメッセージとしてスマートフォンに知らせることができる。

開発の経緯について伺ったところ、「赤ちゃんが自分で考えてものをコントロールできるのは何歳からかという研究の一環で、それを計測するためのデバイスとして開発したものがきっかけ」(石井氏)という。

東大内にある、赤ちゃん研究の最先端の「赤ちゃんラボ」

おしゃぶりセンサを開発した、東京大学大学院総合文化研究科開研究室特任研究員の石井健太郎氏。 おしゃぶりセンサを開発した、東京大学大学院総合文化研究科開研究室特任研究員の石井健太郎氏。

石井氏は、東京大学駒場キャンパス内にある「赤ちゃんラボ」で赤ちゃんに関する研究を行っている。赤ちゃんラボは、2000年に東京大学大学院総合文化研究科の開一夫氏が開設したラボで、0歳から2歳までの赤ちゃんの認知発達をテーマにした研究室だ。赤ちゃんを育てている方々と協力しながら、赤ちゃんの感情やコミュニケーション能力、テレビやロボットに対する理解、自分と他人についての理解などがどのように獲得され、発達していくのかを科学的に調査している。

その研究のなかで、生後数カ月の赤ちゃんが自身でものをコントロールできるかどうか、という運動主体感をテーマにした研究として、吸い方や強さの測定ができるおしゃぶりを開発したという。

「生後4、5カ月程度の赤ちゃんは、腕はまだ思ったように動かせないが口で何かをコントロールすることができるのではないか、という考えをもとに、能力を測るのに必要なデバイスだった」(石井氏) 

東京大学駒場キャンパス内にある、赤ちゃんラボの様子。 東京大学駒場キャンパス内にある、赤ちゃんラボの様子。

2013年の春ごろから開発に取り組んだ石井氏。以前同じ研究室で学んでいて、ハードウェアやインターフェースの設計を行っている尾形氏を誘い、開発を進めてきた。尾形氏は、おしゃぶりで吸ったりかんだりといったさまざまなデータを得るために、いくつもの試行錯誤があったという。

「吸ったときの圧力が分かるように、距離センサと赤外線センサを使っている。内部に入れた綿が縮まると密度が変わって赤外線の反射率も変わるため、圧力が測定できるのでは、と考えた。また、複数のセンサを内蔵し、どこをかんだのかなどが分かるようにしている」(尾形氏)

2013年の夏ごろにはプロトタイプが完成し、そこから実験を進めてきた。一般的なおしゃぶりとほぼ変わらない形状にし、重さもできるだけ近づけたという。センサを稼働させ、データを送信する基盤としてはArduinoを使っている。 

おしゃぶりセンサを分解しながら、製品の説明をする石井氏。 おしゃぶりセンサを分解しながら、製品の説明をする石井氏。

これまでに、30人以上もの赤ちゃんを対象に圧力を測定してきた。開発していくなかで、赤ちゃんによって吸い方の波形やリズムが違うことが見えてきた。また、吸う場合とかむ場合によっておしゃぶりにかかる圧力や強さの違いなども分かってきたという。

「行為のパターンが個人によってそれぞれ違うことや、吸うこととかむことの2種類の違いが分かったことも、研究的に新規性があると感じた。これらの研究の成果は、日本赤ちゃん学会で発表もしている」(石井氏)

こうして、2年ほどの期間をかけながら開発を行い、完成させたおしゃぶりセンサ。データ送信機能をもったデジタルおしゃぶりとして特許も出願している。 

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