おしゃぶりセンサ開発者 石井健太郎 尾形正泰インタビュー
GUGEN2014大賞受賞、赤ちゃん研究から生まれたおしゃぶりセンサのこれから
GUGENの出展と大賞受賞の驚き
研究向けの製品だけでなく、一般の人が手に取れるような製品化への道があるのではと考えた石井氏と尾形氏。そう考えた一つのきっかけは、GUGENのコンテストへの出展を考えたことからだったという。
「以前からピーバンドットコムを利用していたので、2013年の時点でGUGENのことは知っていた。おしゃぶりセンサを出展しようと考えたが、そのときはまだプロダクト自体も開発途中だったことや、関連する特許の申請中だったこともあり、出展するための準備ができなかった。今回は、準備の時期も時間も確保できると考え、出展できるのではと考えた」(石井氏)
GUGEN2014開催の2週間前に出展を決意した石井氏。優勝よりも、自分たちの製品がどのように評価されて、フィードバックをもらえるか、といったことだけを考えていたという。結果的に大賞を受賞したが、受賞よりも研究以外の視点から評価されたことがうれしかったと語る。
「もともと研究から始まった取り組みで、もしかしたら研究以外でも発展できるのではと思っていたら、研究以外の視点や発展の可能性があるというコメントを多くもらえた。研究発表では経験できない、一つのプロジェクトの製品として見てもらえたことがうれしかったし、期待以上の反応だった」(石井氏)
尾形氏も、研究目的で作ったデバイスが研究以外の活用方法を見いだせたこと、来場した人たちからもいくつものうれしい言葉をかけてもらえたことが良かったと語る。
「子どもをもつ親御さんらから純粋に欲しい、と言ってもらえたことがうれしかった。お母さんだけでなくお父さんからも、子育てが楽になるし楽しくなるかもしれないというコメントをもらい、そういうメリットや需要があるのだということも分かった」(尾形氏)
製品化と新しい展開の可能性
大賞を受賞したことで、投資家からの連絡や、各メディアから取材の申し込みが来たという。製品としての高い評価を受けたおしゃぶりセンサを、一研究としてだけでなく、世の中に届け多くの人に手にとってもらいたい、という考えが石井氏の頭の中で強くなってきた。
もちろん、製品化のためには製品自体のクオリティの向上は必要だ。軽量化や、電池交換を容易にするための設計などまだまだ課題も山積している。そうした課題を一つずつ解決しながら、開発を進めていきたいと考えている。
また、おしゃぶりセンサを赤ちゃん以外にも転用できるのでは、と考えるようになった。例えば、首から下がまひしている人にとって、ナースコールをするは困難だ。そこで、振り向く動作と吸ったりかんだりという動作によって、ナースコールができるデバイスとして活用できるのでは、と考えている。
「センサを複数付ければ、上下左右の距離を認識もできる。それが可能になればポインタとしても使え、ハンズフリーな入力デバイスとしての応用も可能だと考えている。いずれは、文字入力や言語入力もこれまでとは違ったものができるかもしれない」(尾形氏)
他にも、さまざまな領域への応用が可能だと考える石井氏と尾形氏。さまざまな利用価値がある製品だと語る。