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木の歯車工房 山上哲インタビュー

CADも使わず手書きで設計——プロもうなる超絶の木工メカニズム

歯車はすべて電動糸鋸で切り出す。 歯車はすべて電動糸鋸で切り出す。

子どもに触ってもらいたい

「木を選ぶ大きな理由は、子どもたちに実際に作る興味を持って欲しいからです。手に入れやすく比較的加工もしやすい木は、私がそうであったように創作意欲をかき立てる素材だと思っているからです」

壊されるリスクもあるが、博物館などで展示するときは極力子どもに触らせるという。

「ものを作らない日本は嫌いなんです。日本の産業構造が変わっても、ものを作る日本は絶対に必要だと思います。ものを作りたくなる人間はそれに目覚めると絶対離れられないと思っています。まったく特性のない子どもを引きずりこむ気はありませんが、特性があるのに興味を持つきっかけがなかっただけの子どももいる。彼らを刺激したい。『創りだすということは楽しいけれど楽なことではないと思います。でも、日本の将来のためにハマってね』という気持ちです」 

「作品を通して子どもたちを刺激したい」。山上氏の視線は次世代にも向けられている。 「作品を通して子どもたちを刺激したい」。山上氏の視線は次世代にも向けられている。

ものごころ ついたときから ものづくり

子ども時代、いつも何かを作っていた、という。

「子どものころからメカに関しては現実的に考えるくせがありました。物理法則や強度を無視した思考はなかった。アニメを見ていても『これはそんな動きにはならないよ。それ、どんな超合金なの……』とよく思いました。

物心ついたときから見えない中身を想像するのが好きでした。歩いている時、テレビをみている時、眼につくありとあらゆるものの中身・強度を常にシミュレーションするのが普通のことでしたね」

いつもバーチャルなメカが頭にある。でもそれはリアルではない。

「『頭の中には面白い機構が存在しているのに実体はない。自分でも現実のものとして触ってみたい。リアルに存在させないで終わるの?』そんな想いが爆発して本格的に制作を始めました。」

最新作にあたる大作「木のロボットアーム」が登場。見る者を圧倒するメカの塊。なぜこんな作品が作れるのだろうか?

木のロボットアーム

「しつこいからじゃないでしょうか。いったん作ると決めたら絶対に引かない。製作途中でダメなところがあってもあまりショックは受けません。そこに全然あきらめていない自分がいるから。逆にファイトがわいてきます。一方で『ここであきらめちゃう人もきっといるのだろうな』と思うことも。ものを作っていて『あきらめない自分』を発見する瞬間が好きですね」

熱く語る山上氏からはものづくりの魂を感じないではいられなかった。 

輪ゴム銃

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