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デジタル工作機メーカー訪問

ものづくりのハードルを限りなく低く——世界一の個人向けCNCを造るオリジナルマインド

取締役開発部長の柴田昌典氏。大学の研究室にオリジナルマインドの製品があったことがきっかけとなって入社した。 取締役開発部長の柴田昌典氏。大学の研究室にオリジナルマインドの製品があったことがきっかけとなって入社した。

 「価格の19万8000円は死守で絶対に超えられない線でした。超えたらたぶん売れ行きが悪くなるし、他の機種との差別化が不明瞭になりますので。ある部分の板厚を厚くして構造を頑丈にすると逆に音は大きくなってしまうとか、外側から見てもまったく分からないのですが、設計者は切削音を静かにするためにすごく大変な苦労をしました。音の周波数分布を調べられるアプリも使って、高域や低域がどうなるのかなどさんざん調べました」(中村氏)

そうした苦労によってこれまでになく静かなCNCとなったKitMill Qt100は、さらなる静かさの実現ともう1つの問題である切りくずの飛散を防ぐため、専用防音ボックスを用意した。がっしりした造りで中にKitMill Qt100がすっぽり収まり、騒音レベルを図書館並みの約42dBに抑えて、切りくずが飛散することもない。

KitMill Qt100のカラーバリエーションについての社内会議の様子(写真提供:オリジナルマインド) KitMill Qt100のカラーバリエーションについての社内会議の様子(写真提供:オリジナルマインド)

「KitMill Qt100の色は、最初は黒にするつもりだったのですが、開発しているうちに『今後はデザイナーや女性のユーザーが増えてくるだろうから先手を打って何かしらやりたい』ということで議論を始めました。4月か5月ころです」(柴田氏)

「KitMill Qt100は構造がSRとそっくりなので、お客さんが見たときに『ただのSRの小型版か』と思われると寂しくて、色を付けることでより差別化したいと考えたんです。ただ在庫面でのリスクもあるので最初は3色でという話だったのが、それも中途半端だからということになって5色になりました。うちはいままでおたくとかマニアとか技術寄りの人たちばかりをターゲットにしてきたのですが、Makersムーブメントということで技術寄りじゃない人たちも使うようになってきた。そこで女性でも使ってもらえるような色を意識しました。全社員に塗り絵を配って色鉛筆で塗ってもらい、壁に貼ってああでもないこうでもないと議論しましたね」(中村氏) 

設計開発スタッフ。ディスプレイに表示されているのは「KitMill Qt100」。 設計開発スタッフ。ディスプレイに表示されているのは「KitMill Qt100」。

数々の苦労を経て完成したKitMill Qt100は、8月に開催された「Maker Faire Tokyo 2015」のオリジナルマインドブースで一般の人たちに触れてもらった。来場者からはカラーバリエーションに対していい反応があっただけでなく、3Dプリンタなどと比べて自分にはCNCが向いているという考えの人も多く、“アパートで使えるCNC”はかなりいけるという感触を得たという。また、別の出展者でKitMillを実際に使っている女性ユーザーにも会うことができたそうだ。こうしたことも、Makuakeでのクラウドファンディングの成功につながっている。

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