Open Reel Ensemble和田永インタビュー
換気扇とボーダーシャツが奏でる都市のゴミたちによる民族音楽--和田永
オープンリールのテープレコーダーやブラウン管のテレビなど、古い電化製品をユニークなコンセプトと最新の技術で楽器へとよみがえらせ、世界を股にかけて独自の表現を生み出し続ける音楽家/アーティストの和田永さん。現在進行中のプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」は都市のゴミたちによる民族音楽の祭典を目指している。そんな和田さんの、その独特の世界観と発想の源泉を探る。(撮影:加藤甫)
世界が注目する才能「Open Reel Ensemble」
オーディオ機器としては過去の遺物となって久しいオープンリールのテープレコーダー。そのリールをまるでターンテーブルにようにスクラッチしたり、その場でフルート演奏などを録音してアナログなサンプリングマシンとしたり、Arduino経由で複数台のシンクロ再生や iPhone からの遠隔操作を可能にする改造を施したり、といった方法で、最先端の楽器として見事に現代によみがえらせたのが、バンド「Open Reel Ensemble」(オープンリールアンサンブル)だ。
Open Reel Ensemble 『Vocal Code』 / Official Trailer
ユニークなコンセプト、高度な演奏力、機材の操作/改造に必要な技術的な知識やスキル、そしてステージに並ぶオープンデッキの荘厳な美しさなど、それら全てが見る者を圧倒する。しかもその音楽性は決して難解なものではなく、ポップでダンサブル。その高い音楽性と表現力は結成以来各所で注目を集め、オーストリアで開催されるメディアアートの世界的な祭典「アルスエレクトロニカ」や、スペインで開催される世界最大級の音楽フェス「ソナー」などに参加。坂本龍一さんが主宰する「commmons」レーベルからデビューアルバムを発表し、学研からDVD/書籍を出版。「ISSEY MIYAKE」のパリコレクションで音楽を担当するなど、世界を舞台に活動を展開している。そして、このユニットを、当時まだ大学生だった2009年に結成したのが、和田永さんだ。
ブラウン管テレビを電子楽器にする「Braun Tube Jazz Band」
和田さんはその後Open Reel Ensembleと並行して、やはり世間から姿を消しつつあるブラウン管のテレビをパーカッションのように叩いて演奏する「Braun Tube Jazz Band」(ブラウンチューブジャズバンド)の活動も開始。
ブラウン管を叩くといっても物理的な振動をマイク等で拾うのではなく、ブラウン管から出る電磁波を体を通してアンプに伝える仕組み。ブラウン管とアンプの間にはほぼ人体があるだけ、というシンプルさだが、ここでは、ブラウン管に映し出された映像が、電子楽器における発振器の役割を果たす(縞模様の幅が音のピッチとなる)。映像と音のシンクロによって生み出される表現はさまざまなものがあるが、それらは一般的に、個別に作られた映像と音が組み合わされることで成立する。ここではそれらとは異なり、そこに映し出される映像が、音を生み出す仕組みそのものとなっている点が特徴的だ。
「ビジュアルと音を一体のものとしてデザインしているんです」