Open Reel Ensemble和田永インタビュー
換気扇とボーダーシャツが奏でる都市のゴミたちによる民族音楽--和田永
「換気扇やオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)、古いラジオやカメラのフラッシュなど、いらないものをいろんな人をから集めて、それを演奏できる形に変えて楽団を作り、音楽会におさまりきらない博覧会、というか祭典を作っていこうと。今まで一人でブラウンチューブジャズバンドをやってきたのが、それをブラウンチューブビッグバンドや、ブラウン管を使ってガムランのように複数人で演奏したいなって」
滞在制作で取り組む参加型作品
今回は参加型のプロジェクトということで、たくさんの人々に協力を仰ぎながら制作が進んでいる。
「最初は、面白いものがあったら持ってきてください、ってやってたんですけど、楽器としてのプランが固まってくると、同じものがあと何個必要、ってリクエストをしました。ものの提供だけでなく、その後のテクニカルな部分で関わりたい人や、演奏で関わりたい人にも募集をかけて。最初に楽器のアイデアやコンセプトの種になるものを皆さんに投げて、そこから広げていくものをディスカッションしたり、一緒に半田付けしたり。11月のコンサートでは演奏にお客さんが参加したり、ゲストミュージシャンを呼んだりしながら、いろんな交流の中でプロジェクトを作っていく、ということをやっています」
和田さんの作品に通底する哲学
和田さんが投げかける「アイデアやコンセプトの種」には、オープンリールやブラウンチューブの活動にも通じる、核となる哲学が存在しているように見受けられる。それは、素材として使用する電化製品を、その外形だけを利用するオブジェとして扱うのではなく、それらが持つもともとの仕組みを生かしながら、新しい楽器としてよみがえらせる、という考え方だ。
「家電で合奏って言うと、(筐体を)叩いてパーカッションにするのかな、って思うかもしれないですど、そこからはひねっていて。(家電から出ている)電磁波だったり光だったりっていうものを探り当てて、(センサーなどを使って)そこに隠された音色を見つけていくんです」