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Open Reel Ensemble和田永インタビュー

換気扇とボーダーシャツが奏でる都市のゴミたちによる民族音楽--和田永

シャツを撮影するカメラの映像出力は、そのままオーディオアンプの入力につながっている。オシロスコープで出力されている波形を見ると、矩形波になっているのがわかる。「シャツのラインが17本あると大体ラの音になるんですよ。ボーダーの本数×フレームレート=Hzなんです」同様に、換気扇サイザーは 回転数×羽の枚数=Hz、となる。音の長さはAVセレクターのラインセレクトスイッチを手元でオン/オフして調整する。 シャツを撮影するカメラの映像出力は、そのままオーディオアンプの入力につながっている。オシロスコープで出力されている波形を見ると、矩形波になっているのがわかる。「シャツのラインが17本あると大体ラの音になるんですよ。ボーダーの本数×フレームレート=Hzなんです」同様に、換気扇サイザーは 回転数×羽の枚数=Hz、となる。音の長さはAVセレクターのラインセレクトスイッチを手元でオン/オフして調整する。

作品完成までの険しい道のり

こうして新しい「楽器」が徐々に形になっていく。だが「音楽作品」としての完成には、まだ長い道のりが待っている。

「演奏方法も考えて、曲も作らなきゃいけない。オープンリールでは3年間かけてるのに、今回はそれを1カ月間に凝縮しているので、自分としてはかなり無茶をしているんです。でも口で説明しても理解してもらえないので、作らざるを得ない。作って音出すとやっと理解してもらえる」 

現在制作途上の「黒電話リズムマシーン」では、黒電話のベルをArduinoからフォトリレーを介してコントロールする。ダイヤルはテンポ変更、受話器はボーカルマイクにする予定だ。「電話によっても違うんですよね。同じ電電公社製でも微妙にチューニングが違って、それがモアレのようなうなりを引き起こすんですよ。で、ずーっと聞いてるとトランス状態に陥っていくんです。受話器を置いたら鳴り始める、取ったら止まる。電話なんで」 現在制作途上の「黒電話リズムマシーン」では、黒電話のベルをArduinoからフォトリレーを介してコントロールする。ダイヤルはテンポ変更、受話器はボーカルマイクにする予定だ。「電話によっても違うんですよね。同じ電電公社製でも微妙にチューニングが違って、それがモアレのようなうなりを引き起こすんですよ。で、ずーっと聞いてるとトランス状態に陥っていくんです。受話器を置いたら鳴り始める、取ったら止まる。電話なんで」

一方、和田さん自身の中で「アイデアやコンセプトの種」を形にしていく過程も、一般的な音楽家とは大分違った道筋をたどっているようだ。

「スケッチを最初に描いて。やっぱり脳内に浮かんだものを絵にすると伝わりやすいかなと。純粋に音楽を作るだけならなくてもいいんですけど、スケッチも含めての表現が面白いんです。換気扇があって、音が鳴って、歓喜の歌が生まれる、みたいなストーリーも込みで表現したいので。パフォーマンス、音楽、アート、デザイン、全部ひっくるめた、一つの言葉では形容できない表現をやりたいんです」

そしてやはり今回のプロジェクトでも、最初に1枚の絵画としてそのコンセプトを表現した。 

「今回の製作を始めた時に“奇祭”を作りたいって感じて。都市から排出された、いらなくなったものたちに、もう一回生命を呼び起こす祭典。いらなくなったものをかき集めたら違う生命が生まれた、というファンタジーを作っちゃえ、っていう所からスタートしてるんです」 「今回の製作を始めた時に“奇祭”を作りたいって感じて。都市から排出された、いらなくなったものたちに、もう一回生命を呼び起こす祭典。いらなくなったものをかき集めたら違う生命が生まれた、というファンタジーを作っちゃえ、っていう所からスタートしてるんです」

この絵画で打ち出された“奇祭”というコンセプトや、和田さんが作品を説明する時に口にした「都市のゴミたちによる民族音楽」といった言葉には、音楽の原初にある宗教性とのつながりを見出すことができる。しかしそれと同時に、楽器の制作過程は、科学的な方向から音楽の原初にアプローチする知的興奮にもあふれていたようだ。

「楽器を作ってると、音楽が生まれる瞬間を追体験する感覚があるんです。12平均律がなぜそういう風に音程を割っていったかを追体験する感じで。まず1つの音が生まれて、周波数を倍にしたらオクターブの関係になるというのが(縞模様の本数や羽の枚数という形で)可視化されて。そうすると音楽が最初に生まれる瞬間に立ち会ってるみたいな高揚感がある。だからたった2つの音程が出ただけで、気分が高揚する。やりたいのはこうした感覚を含めた表現なのかなって」 

ボーダーシャツァイザーの開発費用はクラウドファンディングサイト kibidangoで募集し、ファンディングに成功した。 ボーダーシャツァイザーの開発費用はクラウドファンディングサイト kibidangoで募集し、ファンディングに成功した。

ここまで見てきた楽器には、MaxやArduinoなどの最先端のツールも活用しつつ、ギターシールドを踏みつけたり、映像出力をオーディオ入力に接続してしまったり、といった、和田さん流の表現で言う「ロックな」手法が組み合わされている。これらは単なる面白ポイントとしてではなく、和田さんの音に対するこだわりが強く反映された結果だ。

「実際に音を出す所には、デジタルなオシレータ等はあまり使いません。アナログな仕組みやフィジカルな部分によって生み出されるゆらぎを大事にしているんです」

最後に、こうした表現を継続して追求していくために必要なこととは何かを伺ってみた。

「常に妄想を広げて形にしていくしかない。狂気ですね。狂気の沙汰ですね。普通やんないですからね。全くおすすめしません。凄く険しい山を登る感じなんで。狂ってないとできないですね」  

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