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Dorita・佐々木有美インタビュー

摩訶不思議なサウンドデバイスで脳をコンフューズさせる アーティストユニットSasaki Yumi + Dorita

ゲームの神様からのアドバイスに悩む! 作品は誰のためのもの?

Bug's Beatは、文化庁のメディア芸術クリエイター育成支援事業のアドバイザーであり、ゲームの神様と言われているゲーム作家/ゲーム研究者の遠藤雅伸さんやNTT インターコミュニケーション・センター [ICC]の主任学芸員の畠中実さんなど、各界のプロフェッショナルからアドバイスを受けて作られていった。佐々木さんは、遠藤さんからのアドバイスに落ち込んでしまったこともあったという。

佐々木 初めて虫の足音を聞いた時、私は自分がすごく小さくなった気がしたんですね。でも、遠藤先生にその話をしたら「それは主観だ!」と言われてしまって。それまでは自分の主観で作りたいものを作ってきたので、すごく悩みました。

Dorita 佐々木さん、その時すごく落ち込んだんですよ。でも、たしかに恵比寿映像祭の時は佐々木さんとは逆に「虫がすごく大きくなったような気がして怖かった」という人もいたんですよね。

(写真提供:後藤武浩) (写真提供:後藤武浩)

佐々木 そうなんです。遠藤先生に言われて、初めて見る人のことも考えなきゃいけないんだってことに気づかされました。

——Doritaさんは、デザイナー/ディレクターとして作品を客観的に捉えていますか?

Dorita 佐々木さんの発想や衝動のようなものと、見せ方のバランスを考えながらデザインしていきます。Bug's Beatの時は、遠藤先生とどんな見せ方をするか話し合って、虫が走ったら光るなどの工夫が生まれました。

——スライムシンセサイザーとBug's Beatは、全く異なるアプローチから生まれていますよね。そんなお二人の発想力がとても面白いと思います。

Dorita 私たちに共通しているのは、音楽が好きということです。例えばスライムシンセサイザーだったら聴覚と触覚、Bug's Beatだったら聴覚と視覚みたいに、いつも聴覚と何かを掛け合わせた時に脳が混乱して新しい感覚が生まれる——みたいな感じを、お客さんに持って帰ってもらえたらいいなと思っています。その感じというのは、単純に「楽しい」という気持ちでもいいし、街中にいる虫の存在を感じてもらうことでもいいんです。見る人が自由に楽しんでもらえたらいいなと思っています。

——Bug's Beatはまだまだアップデートされていきそうですね。今後はどんな展開を考えていますか?

Dorita 最終的には什器の周りに生態系を作り、子供が自分で虫を見つけて、自分で音が聞けるような装置にできたらと思っています。後は、爆音の定義を変えたいと思っているんです。

佐々木 今までは爆音といえば音量を増幅することだったんですけど、それだけではなく、もっと体で聞くような体験が作れたらと思います。

——面白そうですね! 今後の活動予定があったら教えてください。

Dorita 6月は、シンガポールで開催されるMaker Faire Singaporeに出ます。スライムシンセサイザーを使ったワークショップやライブもやりますよ。もちろん今年2016年のMaker Faire Tokyoにも去年と同じような形で出ますので、遊びに来てください。

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